■エネルギーや燃焼の仕組みに触れる『ゆるキャン△』アルコールストーブづくり

 あfろさんによる『ゆるキャン△』は、女子高生のキャンプ風景を描いた癒し系漫画だ。本作からは、コミックス10巻で紹介された“アルコールストーブ”(燃料にアルコールを使用する携帯コンロ)を紹介する。

 最低限必要なのは、ボトルキャップ型のアルミ缶、カッター、千枚通しなど穴をあける道具、燃料用のアルコール。

 まずラベルを剥がしたアルミ缶を、下部・真ん中・上部の3つに切り分け、さらに上部から飲み口がついている部分を切り離す(ここは使用しない)。このとき、缶にマスキングテープを巻き、それに沿ってカッターで何度も軽くこすると綺麗に切れる。切断面は尖っていてケガをしやすいので、切ったあとにヤスリがけをするといいだろう。

 次に、火口づくり。メインの火口は缶の上部(飲み口を切り離した部分)だが、それをぐるりと取り囲むように、小さな火口となる穴をいくつかあける。この穴のあけ方で炎の形が変わるそうなので、好みの形の炎を追究しても面白そうだ。

 缶の真ん中部分は、ストーブ内の内壁に使う。いったん帯状に切り、底辺に三角の切れ込みを入れておく(この切れ込みから、内壁の内外にアルコールが行き渡る)。

 高さや直径を調節して巻き直したら、これを缶の下部に収め、缶の上部にすっぽり収まるようにはめ込めば完成だ。あとはアルコールを注ぎ、中心の火口に火をつけるだけ。明るいと火が見えにくいので、暗い場所で使うことをお勧めする。

 燃料に使うアルコールは無水エタノールか燃料用アルコール、またウォッカなどアルコール度数の高い酒も使用できる。小さい割に火力は意外と強く、湯沸かしや簡単な調理が可能だ。炎の調整や燃料の補充などを通じて、エネルギーの扱い方や燃焼の仕組みを学ぶことができるし、被災時にも役立つ知識となるだろう。

 ただ、火や刃物を扱うため、子どもだけの作業は危険だ。必ず大人が付き添って、安全に作業していただきたい。

■【番外編】漫画じゃないけど…生態系の美しさに触れる『湿地帯ビオトープ』

 最後に番外編として、漫画『映像研には手を出すな!』の作者である大童澄瞳さんと、SNSで人気の「オイカワ丸」こと中島淳さんがタッグを組んだ話題本『自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり』から、“ビオトープづくり”を簡単に紹介したい。

 ビオトープとは、生物が共生する自然環境を再現した小さな生態系のことだ。自宅の庭やベランダにビオトープを作ることで、水生植物や昆虫、魚などの生態を気軽に観察できる。

 作り方は何通りか紹介されているが、一番簡単なのはプランターや睡蓮鉢を使う方法だ。これに石や土を配置して水辺と陸地を作り、水生植物を植えたり、希望に応じて生体を導入すれば完成。植物や生体は購入してもいいが、近所から採取すれば、近隣の生態系を知る良い機会となるだろう。

 環境が整えば、いずれ植物や生き物たちが勝手にやってくるようになる。この様子を毎年観察すれば、それはもう立派な「縦断研究」(同一の対象を繰り返し観察する研究スタイル)だ。何より、来年以降の自由研究ネタに困らないのでお勧めだ。

 

 今回紹介したテーマは、いずれも実際に手を動かしながら学べるので、夏休みの良い思い出になるのではないだろうか。“楽しい”から“知りたい、学びたい”へ……子どもたちの世界がより豊かなものになることを願う。

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