夏休みは子どもにとって楽しい時間だ。しかし8月も下旬になると、積み残した大量の宿題に悪戦苦闘する子も多いはず。なかでも自由研究は子どもにとっても、大人にとっても悩みの種になりがちだろう。
そこで今回紹介するのは、大人と子どもが一緒になって楽しめそうな、人気漫画を参考にした自由研究のアイデアだ。漫画を読んだり遊んだりするような感覚で、気軽に科学に触れることができる内容を紹介したい。
■不思議な菌学の世界に触れる『もやしもん』納豆づくりと冬虫夏草
石川雅之さんによる『もやしもん』は、菌やウイルスなど目に見えない世界の知識が楽しめる漫画だ。とくに発酵を題材としたテーマが多く、なかでもコミックス3巻で紹介された“納豆づくり”は手軽に挑戦できる。
手順は簡単。一晩水につけた大豆をしっかり芯がなくなるまで蒸し、少し食べ残した納豆パックに足して放っておけば完成だ。注意点は、豆が熱いうちにパックに移すこと。これで高温にも耐える納豆菌以外の菌はいなくなり、雑菌の繁殖を抑えることができる。また、好気発酵(空気が必要)なので密閉してはいけない。
納豆菌を使って大豆を発酵させる過程は菌の働きが目に見えやすいため、子どもにとっては興味深い体験になるだろう。
もっと難しい挑戦をしたい人は、1巻で紹介された“冬虫夏草の栽培”に挑んでみてはどうだろうか。
冬虫夏草とは虫に寄生するキノコの一種で、漢方や食材として高値で取引されている。家庭での栽培は難易度が高いようだが、市販の栽培キットならうまくいくかもしれない。
また日本に分布する種も多数いるそうなので、図鑑片手に森などを散策してみるのも一案だ。ひょっとしたら一攫千金もあり得るが、採取を禁止している区域もあるようなので、事前に確認をしてからチャレンジをしてほしい。
■身近な化学反応に触れる『Dr.STONE』コーラづくり
稲垣理一郎さん原作、Boichiさん作画の『Dr.STONE』では、身近な物を支える化学や物理の原理を学ぶことができる。まさに自由研究にはうってつけの漫画だが、なかでも手軽に取り組める題材として、コミックス5巻で紹介された“コーラづくり”を提案したい。
材料は、炭酸水、ハチミツを焦がしたカラメル、パクチー、ライム(皮まで)。あとはこれを混ぜるだけ。
なんでも、潰したパクチーにライムの皮を絞るだけで、いきなりコーラの香りになるそうだ。分量含めレシピの詳細は明記されていないため、試行錯誤しながらベスト配合を探したり、材料をアレンジしてオリジナルの最強コーラを究めたりすれば、ただのコーラづくりも研究然としてくる。
また作中では、アルコール発酵の際に生じた二酸化炭素を水に溶かして炭酸水を生成したと思われる。さすがにそれは大変だが、せっかくなので食用のクエン酸と食用の重曹に水を加えて炭酸水を作ってみるのも良いかもしれない。
子どもにとっては、化学反応の面白さに興味を持つ絶好の機会になるだろう。