7月6日から放送を開始したアニメ『天穂のサクナヒメ』が好調だ。2020年11月に発売されたゲームを原作とした本作は、武神と豊穣神の間に産まれた女神・サクナヒメが未開の離島で米作りと鬼退治の日々を繰り広げる物語。「ゲームなのに米作りがリアルすぎる」と評価が高く、話題となっている。
「米アニメ」とも呼ばれる本作は、放送前に農林水産省とのコラボが発表された。同省の特設ページには「この夏、サクナヒメと一緒に日本の農林水産業を盛り上げていきたいと思っています」と書かれており、農林水産省の本気っぷりがすごいと話題になった。
だが、省庁や地方自治体といった政府関係の組織が本気で漫画やアニメとコラボした例はほかにもある。今回は、数あるオタクコンテンツ×政府機関コラボのなかでも「この作品だからこそ!」と話題になった企画を紹介していこう。
■『ゴルゴ13』×外務省…デューク東郷が在外邦人に安全指南!
まずは、日本を代表する超ロングヒット漫画『ゴルゴ13』(さいとう・たかをさん)と外務省のコラボ企画を見てみよう。その内容は、旅行や仕事で海外を訪れる日本人に向けた安全対策マニュアルである。
世界を股にかける凄腕スナイパー・デューク東郷が外務大臣から「世界各国の在外邦人に、最低限必要な安全対策を指南してほしい」と依頼された……というストーリーを軸に、デューク東郷が海外生活における注意点を解説する、というのがコラボの趣旨だ。
“あの”デューク東郷が海外で生活するための術を教えてくれるというのだから、漫画好きなら誰もが気になってしまう。まさに『ゴルゴ13』だからこその企画である。
また、本コラボは『ゴルゴ13』への理解も深い。動画版の第1話で外務大臣がデューク東郷に依頼した理由に「あなたが臆病だから」と語っている。
デューク東郷が一流の条件に「30%の臆病さ」をあげているのは有名な話だが、それを外務省が拾ってくれるとは。第1話の再生数が30万を超えるほど好評なのも、こういうリスペクトが根底にあるからだろう。
■『東京リベンジャーズ』×内閣府…新成人をヤンキーが応援!?
次は、『週刊少年マガジン』(講談社)の看板作品として人気を博し、アニメ、実写映画も大成功を収めたヤンキー×タイムリープサスペンス『東京リベンジャーズ』(和久井健さん)と内閣府がコラボした「成年年齢引き下げ周知動画」を見てみよう。
2022年に成年年齢が18歳に引き下げられたが、その年の新成人に向けるメッセージの発信役として『東京リベンジャーズ』に白羽の矢が立ったのだ。
コラボ動画では『東京リベンジャーズ』のキャラたちが、成年年齢引き下げにまつわる注意点やトラブルへの警戒を呼びかけている。人気キャラ・マイキーの名ゼリフをもじった「大人になんのひよってるやついる?」も飛び出しており、当時、ファンの間ではかなりの話題になっていた。
社会に反抗するヤンキーが政府広報に協力する……こう書くとなかなか珍妙な取り合わせに思えるかもしれない。だが、『東京リベンジャーズ』のヤンキーたちは、少年と大人の狭間でそれぞれの悩みを抱えるキャラだ。
そんな彼らは、むしろ不安を抱く新成人へのメッセンジャーとして最適だった気がしてならない。