■主人公はもちろん多くの登場人物が亡くなる『もう誰も愛さない』
『もう誰も愛さない』は、フジテレビ系列の木曜劇場にて１９９１年４月から放送されたドラマである。欲望に飢えた男女が、金儲けのために次々と犯行を重ねていく本作。予測不能なスリル満点のドラマとして話題になった。
主役の沢村卓也を演じたのは吉田栄作さんだ。沢村は不幸な幼少期を過ごした銀行の運転手であり、お金が必要だった。そんな沢村の前に現れたのが田中美奈子さん演じる宮本小百合であり、金儲けのために同僚の女性から金を奪う計画を沢村に持ちかける。
本作は“ジェットコースタードラマ”とも評され、暴行や毒殺、横領や密告、異母兄妹疑惑があったりなど、かなり劇的な展開が続く。しかもほぼ１話毎に主要人物が病死したり殺されたりするので、１度見逃すとなかなか内容に追いつくのが大変だった。
吉田さん演じる沢村は白いシャツが似合うとてもスマートでカッコいい男性だが、頭を抱えてウォーっと叫ぶシーンが印象的だ。また登場人物の多くが殺害されるのだが、なかでもバラバラ殺人の被害者となる伊藤かずえさんのシーンも話題となった。
このドラマも、最終回で主役の沢村が死んでしまう。罪を重ねたことにより、敵対する相手から銃で撃たれてしまうのだ。しかし撃たれながらも身重の美幸（山口智子さん）を無理やりタクシーに乗せて見送っているのが凄い。最期は、やがて生まれてくる自分の子どもの未来を案じながら亡くなるという、ジェットコースタードラマらしい結末となっていた。
今回紹介したドラマは、いずれも主人公の死が予想される衝撃的な内容となっている。現実では起こり得ないような展開だが、そのドラマチックな結末が作品を一層印象深いものにし、今でも語り継がれる名作となっているのだろう。
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