パリ五輪「AKATSUKI JAPAN」観戦に役立つ!『SLAM DUNK』と比較して覚える「バスケットボールの現行ルール」の画像
『THE FIRST SLAM DUNK』(C)I.T.PLANNING,INC.(C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 井上雄彦氏による名作バスケ漫画『SLAM DUNK』。連載終了から26年の時を経て一昨年公開された劇場版アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』も大ヒットとなり、当時のファンも大いに盛り上がった。

 ただ、本作を観て少し違和感を感じた人もいるかもしれない。それは、ルールの違いだ。『SLAM DUNK』の連載期間は1990年〜1996年。当時のルールと今回のパリ五輪で適用される現在の国際ルールには、大きな違いがある。

 そこで今回は『SLAM DUNK』を通して「五輪前に知っておきたいバスケの現ルール」を、ぜひ確認していってほしい。バスケットボール日本代表「AKATSUKI JAPAN」の活躍を、より楽しめるはずだ。

■「前後半制」から「クォーター制」へ

 まず、分かりやすいところでいうと、『SLAM DUNK』では20分×2の「前後半制」だったのが、現在は10分×4クォーターの「クォーター制」になっていることだろう。2000年に国際ルールが変更、日本でも2001年から導入されたルールだ。

 バスケットボールは非常に運動量が多いハードなスポーツである。ルール変更のおもな意図もそこにあり、細かく分けることで体力的に余裕が生まれ、よりスピーディーな試合になることが期待できる。またそれに伴い、タイムアウトの数も前半2回・後半2回から、1・2クォーターで2回、3・4クォーターで3回と増えた。

 40分というコート上でのプレー時間は同じだが、これらのルール変更は体力不足で苦戦していた選手にとっては嬉しいものとなったかもしれない。

『SLAM DUNK』でいうと、インターハイ神奈川県予選の湘北VS海南大附属の試合で、赤木が怪我により途中離脱、それを補うかのように前半飛ばした流川楓は後半で体力の限界を迎え、途中交代していた。また同試合、三井寿も体力のなさで集中力を欠き、出されたパスをキャッチミスしてしまった描写もあった。

 仮にこの試合が現在のクォーター制であったならば、流川や三井の体力にもおそらく余裕が生まれていたことだろう。湘北が海南に勝利する展開があったかもしれない。

■「インテンショナルファウル」から「アンスポーツマンライクファウル」へと名称変更

『SLAM DUNK』では「インテンショナルファウル」の名称で呼ばれていた、“審判が故意のファウルと判断する危険な反則”。内容はほとんど同じだが、1995年から「アンスポーツマンライクファウル」と名称が変更され、よりその悪質さが強調されるようになった(作中でも「Dr.Tのバスケットボール講座」で名称変更については解説されている)。このファウルを受けたチームは、フリースローを得て、さらに自ボールでゲームが再開できる。

 ちなみにこの「アンスポーツマンライクファウル」は、1試合で2回取られると退場になる(通常のファウルは5回で退場)。サッカーでいうと「イエローカード」のような位置づけだ。その重さが分かるだろう。

『SLAM DUNK』作中でも、何度か登場していたこのファウル。たとえば、湘北VS海南の試合、桜木花道がダンクを決めようとジャンプしたところに牧紳一が飛び込んで阻み、インテンショナルファウルを取られていた。

 桜木の“下から両手投げフリースロー”につながる名場面だったが、仮にこのダンクが決まっていれば、おそらく流れは湘北に傾いていただろう。だからこそ牧はあえて飛び込んだのだろうが……。

 また、インターハイ1回戦の相手、豊玉の“エースキラー”こと南烈が流川の顔面に肘鉄を喰らわせていたときにもこのファウルを取られていた。

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