尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』(集英社)は、全世界で5億部の発行部数を超える作品だ。2024年11月時点で110巻まで刊行されており、いまだにその人気は衰えない。
本作にはこれまでいろんなキャラが登場して作品を盛り上げてきたが、敵キャラにはムカつくことばかり……。それも倒した時の爽快感に繋がるので、あえてのキャラ設定とも言えるだろう。
しかし、そんなキャラたちの中にはムカつくのを通り越して、胸糞が悪くなってしまう者もいる。「これはやりすぎだろ……」「絶対に許せない!」と、思わず突っ込んでしまうほどだ。
序盤の非道キャラとして有名なのはやはりアーロンだが、それ以降も彼を上回るようなキャラが次々と登場している。今回はそんなキャラたちを3名紹介していこう。
■とにかく自己中心的すぎるスパンダム
まずはCP9の長官であるスパンダムから見ていこう。麦わらの一味のメンバー・フランキーと因縁の関係にあるこのキャラの性格の悪さは、かなりひどい。
スパンダムは、古代兵器プルトンの設計図をめぐってフランキーの師匠であるトムを死に追いやることに始まり、ニコ・ロビン捕獲の際にも非道ぶりを発揮した。
彼の言動を見ていて特に胸糞悪いのが、自分以外の人間の命を何とも思っていないところである。時には味方ですら簡単に切り捨ててしまうのだ。
またバスターコールをうっかり要請してしまい、引き返すことができない状況になった時には、「たとえ兵士が何千人死のうとも…!! 栄えある未来の為の仕方のねェ犠牲といえる!!」などと叫んで、自分のミスを正当化していた。しかも自身の出世の心配をして、ルフィたちを止められない仲間を能なし扱い……。これでは無様に倒されて当然である。
他にも抵抗できない相手に対して何度も暴行を加えるなど、弱いものいじめのシーンも多く登場した。おまけにスパンダムは能力者ではないので、自ら戦うことはなく口だけ。そんな人間がよく長官になっているものだと思ってしまった……。
■多くの人々を騙したシーザー・クラウン
次はパンクハザード編に登場するシーザー・クラウンを紹介したい。シーザーは「ガスガスの実」の能力を持つ科学者で、冷酷非情なマッドサイエンティストである。もとは世界政府でDr.ベガパンクの科学班の一員として働いていた。
シーザーの自己中心的な行動は、見ているだけで怒りがこみ上げてしまうものばかりだ。そのひとつに子どもたちを病気と騙して誘拐し、人体実験をおこなっていたというものがある。もし、そのままにしておけば子どもたちは5年も生きられないとのことだったので、いかに人の命を軽んじているかが分かる。
他にもパンクハザードで起こった事故の首謀者でありながら、それを隠蔽して部下を助けることで「救いの神」として称えられていた。これには茶ひげを始め多くの人間が騙されてしまい、忠誠心を持って信じていたので、可哀想でしかない……。
そんなシーザーはルフィたちが研究所に攻め込んでからも、自分が助かるために手段を選ばない。毒ガス「シノクニ」を部下がいるにもかかわらず使用し、巻き込まれて動けなくなる人間が続出した。これにはルフィも完全にキレていたので、ボコボコにしてくれ!と心の中で叫んでしまったものだ。
作者は単行本の質問コーナーであるSBSでシーザーの悪行の数々を挙げつつ、「死んだほうがいい男です」とまで書いている。生みの親からもここまで言われてしまうのが、逆にスゴい。