アニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』への絶賛の声が止まらない。7月21日放送の第2話もX(旧Twitter)でトレンド入りを達成し、令和でも『キン肉マン』の面白さが通用すると証明し続けている。
とくに第2話で注目されたのが、初公開されたエンディング映像だ。キン肉マンを演じる宮野真守さんが歌う「超人」とともに流された映像に、大量かつディープな原作ネタが散りばめられていた。その凄まじさたるや、多くの視聴者から「原作リスペクトが凄いぞ!?」「制作人の愛がエグすぎ」といった声が寄せられたほどである。
そこで今回は、『キン肉マン 完璧超人始祖編』のエンディング映像に隠された原作ネタを解説していこう。視聴可能な方は、実際に映像を見ながら読んでみてほしい。
■旧作時代のハイライト! 第1~37巻の単行本表紙を連続カットでお届け
今回のエンディング映像でまず目を引くのが、印象的なカット絵が高速でドンドン切り替わる演出だ。このカット絵はすべて単行本の表紙を元に描き下ろされたもので、『週刊少年ジャンプ』(集英社)時代の第1巻から第37巻すべての表紙イラストをリライトしているという。
しかも、ただ表紙をマネているだけではない。表紙イラストをアニメとして動かしたり、表紙には描かれていない新要素を盛りこんだりと、さまざまな工夫が見られる。
たとえば第7巻パートでは、超人オリンピック第一次予選で行われた「超人ふるい落とし」のオマージュが追加されていた。ふるいにかけられている超人たちが懐かしの「キン肉マン消しゴム」を思い出させるデザインなのも、当時の少年少女にはたまらないだろう。
単行本のお持ちの方は、エンディングと見比べてみると再現度の高さやアレンジのうまさがよくわかるはずだ。
そして極めつきは、マスクを外したキン肉マンが再びマスクを被り、ファイティングポーズをとるラストの流れ。これは「完璧超人始祖編」がスタートした第38巻表紙に準じている。
昭和の『週刊少年ジャンプ』時代を振り返り、最後は現代にバトンタッチして終わる……エンディングとは思えない豊かな物語性に脱帽、いや、脱マスクである。
■ギャグもバトルも拾いまくり! 原作漫画で振り返るキン肉マンの戦い
単行本表紙のリライトカットが目立つエンディングだが、その合間に挿入されていた原作漫画のコマも見逃せない。今回アニメ化された「完璧超人始祖編」に至るまでの『キン肉マン』の名シーンが高速でスライド表示され、さながら総集編の趣だ。
たとえば第1巻の範囲では「へのつっぱりはいらんですよ!」や「おとなをからかっちゃいけないよ!」など、今も語り継がれるシーンが採用されていた。『週刊少年ジャンプ』時代全387話のダイジェストを1分30秒でまとめているためか、ひとつひとつのコマはほんの一瞬しか表示されない。しかし、そのスピード感がまた気持ちいいのだ。
この演出で興味深いのが、熱いバトルや泣ける名場面だけでなく、ギャグシーンも数多く選ばれていたことだ。ギャグ漫画の性格が強かった第3巻のパートでは、怒りのあまりキングギドラと化したキン肉真弓に「漫才やっとる場合かあ!?」とキン肉マンにツッコむ一コマがあったぐらいだ。
最初は情けない主人公だったキン肉マンは、作品が超人プロレスバトルに方向転換するにつれて、やる時はやるカッコいいヒーローになった。
初期のギャグキャラは忘れられがちなのだが、それもキン肉マンの立派な構成要素のひとつだ。原作のバトルもギャグも満遍なく拾っているエンディング映像からは、そんなスタッフの心の声が聞こえてきそうだ。