『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中の『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平氏)は、ヒーローを目指す少年少女たちの奮闘を描いた大人気少年漫画だ。
アニメ第7期が絶賛放送中の現在、8月2日からは劇場版第4弾となる『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』の公開も決まっており、ファンが盛り上がりを見せている。
本作は多彩な能力を活かした痛快なバトルが魅力だが、一方で暗く強烈な描写から読者に“トラウマ”を植え付けるような場面もたびたび登場している。そこで『ヒロアカ』で描かれたトラウマ描写の数々を見ていこう。
■あまりにあっけない最期に、読者も唖然?…マグネ
『ヒロアカ』には世界を守るヒーローに対峙する存在として数多くの個性的な“敵(ヴィラン)”たちが登場するが、いずれも一筋縄ではいかない凄まじい“個性”と実力を秘めた者ばかり。
主人公・緑谷出久らと敵対し続ける“敵連合”は、物語を通してヒーローたちと激戦を繰り広げる。そのなかで凄惨な死に様を遂げてしまったキャラクターといえば、“磁力”を操る個性が特徴の男性・マグネだろう。
マグネは赤い長髪にサングラスという出で立ち。もともと、強盗や殺人といった数々の犯罪に手を染めてきた人物で、作中では林間合宿の襲撃やプロヒーローと警察の急襲作戦など、さまざまな場面で活躍を見せた。
しかし、指定敵団体「死穢八斎會」の若頭であるオーバーホールとの邂逅が、彼の運命を変えることとなる。
オーバーホールは高圧的な態度でマグネらに接し、挙句は「自分がルールを作るから下につけ」と挑発。この一言に激昂したマグネは先制攻撃をしかけるも、オーバーホールの個性によってなんと上半身を“分解”され、破裂させられてしまった。本人はなにが起こったかすら理解できないまま、たった一撃で肉体を液状化させられ即死してしまったのである。
相手に触れることすらできずに殺されたことはもちろん、体を“分解”されるというその壮絶な死に様は凄まじいインパクトだった。また、実はマグネは敵連合のなかで最初の死亡者となったキャラクターでもあるため、そのあまりにもあっけない死亡シーンに唖然としてしまった読者も多かっただろう。
■すべてを奪われ敗北したヴィランの末路…オーバーホール
前述のマグネを殺害した張本人・オーバーホールも、作中であまりにも悲惨な最期を迎えたキャラクターの一人である。
オーバーホールは鳥のくちばしを彷彿とさせる“ペストマスク”で顔を隠した男性で、自身が所属する組織「死穢八斎會」の復興と、裏社会全体の支配を目論み活動してきた。手で触れたものを瞬時に“分解”、“修復”、“融合”する個性は強力無比の一言だが、彼の本質はその内に抱いた壮大な野望にこそある。
なんと彼は世界の人々に宿った“個性”を取り除くための非人道的研究を繰り返しており、同時にその“個性”を復元する薬品を自身の組織が保有することで、莫大な利益を手にしようと画策していたのだ。
圧倒的な実力で数々のヒーロー、ヴィランを苦しめたオーバーホールだが、激戦の末、出久の手によって敗北を喫することとなる。
さらにその後、護送中の彼を“敵連合”の面々が急襲。マグネの殺害にMr.コンプレスの左腕を破壊したことをうけ、オーバーホールは連合のリーダー・死柄木弔によって両腕を破壊されるという報復を受けることとなった。
二度と個性が使えなくなったばかりでなく、野望のために用意してきた“個性を殺す銃弾”や“個性を復活させる血清”といった、長年の研究成果すらも奪われたオーバーホール。最終的には心身のバランスを崩し、そのまま対“個性”最高警備特殊拘置所・タルタロスへと収監された。
因果応報とはいえ、あまりにも救いのない結末に敵キャラながら思わず心を締め付けられてしまうキャラクターである。