■80年代は個性派ぞろい?女性の「少佐」キャラも躍動!

 1980年代になると、「少佐キャラ」も多種多様な広がりを見せ始める。

 1987年から今なお連載が続く、荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズにも、インパクト強めな少佐キャラがいた。それが「第2部『戦闘潮流』」に登場したドイツの将校ルドル・フォン・シュトロハイムだ。

 戦いのさなか、柱の男・サンタナがシュトロハイムの体に侵入し、それを討ち倒すため手りゅう弾で自爆し死んだかと思われたが、全身をサイボーグ化して復活。ちなみに再登場時には二階級特進で大佐へと昇進している。

 ネットミームで汎用性の高い「〇〇の△△は世界一ィィィ!」は彼のセリフで、最初の冷血なイメージから一転、熱く義理堅い性格で人気となった人物だ。

 一方、女性の「少佐」キャラとして有名なのが、士郎正宗さんの大ヒット作『攻殻機動隊』(1989年初出掲載)の主人公・草薙素子である。

 西暦2029年を舞台に、超高度情報化社会で起きる犯罪に対抗するため結成された特殊部隊「公安9課」に所属する彼女は、脳と脊髄の一部以外を“義体(サイボーグ)化”。そのため、素子の身体能力や戦闘能力は突出している。

 なかでも高度なハッキングスキルは「エスパーよりも貴重」と言わしめるほど。そんな彼女の愛称は、肩書きと同様に「少佐」だ。

 最後に余談ではあるが、1982年から刊行が始まった、田中芳樹さんのSF大作『銀河英雄伝説(以降、銀英伝)』もさまざまな階級が登場する作品だ。

 主人公のひとりであるヤン・ウェンリーは、本編では「准将」から始まり、最終的に「元帥」になった人物である。しかし、そんなヤンは、士官学校を卒業したばかりの中尉の頃に惑星エル・ファシルで300万人の民間人を救出。その功績により「大尉」を半日ほど経て、「少佐」へと異例の昇進を遂げた。

 そしてヤンにとって、もっとも長い期間過ごした階級が「少佐」というのは、意外と知らない人もいるのではないだろうか。

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