『熱血!ファミコン少年団』や『ファミコン風雲児』も…チビッコが度肝を抜かれた「昭和ゲーム漫画」の超トンデモ展開の画像
コミックボンボン『ファミコン風雲児』第3巻(講談社)

 1983年に発売されたファミリーコンピュータが空前のゲームブームを巻き起こしたことを受け、数々のゲーム漫画が連載を開始した。

 実在するゲームタイトルが登場することでもお馴染みのゲーム漫画だが、一方であまりにも破天荒な展開で読者の度肝を抜いてしまうことも……。今回は、ゲーム漫画に登場した“トンデモ展開”の数々について見ていこう。

■悪党に狙われてしまったのは誰しもが知る“あの人”…『熱血!ファミコン少年団』

 ファミコンにかかわる著名人が数多く活躍するなかで、とくに有名な存在といえばゲーマーとして数々の伝説を残す高橋名人ではないだろうか。ゲームの実演、そして“16連射”と呼ばれる凄まじい技で多くのファンを獲得した高橋名人だが、その知名度の高さからファミコン漫画にもたびたび登場している。

 とくに、1986年から『月刊コロコロコミック』(小学館)で連載された、さいとうはるおさんの『熱血!ファミコン少年団』では、漫画のなかでこの高橋名人がとんでもない目に遭ってしまう。

 本作は漫画雑誌に掲載されていた“ファミコン少年団”なる企画を設定に取り込んでおり、少年団に所属する子どもたちがさまざまな出来事・事件を通じ、勇気や友情を育んでいく冒険活劇だ。

 漫画のなかで高橋名人は、少年団の名誉団長という非常に重要なポジションのキャラクターとして登場する。しかし、それゆえに重大な事件に巻き込まれることも多く、ときには危険な“トンデモ展開”に巻き込まれる場面も。

 物語序盤、バイクに乗った謎の人物に襲撃され大事な右手を負傷してしまう……なんていうのは序の口。なんと後半では、悪の組織によって高橋名人が拉致される異常事態までも発生してしまうのだ。

 高橋名人を救うため彼のもとに駆け付ける少年団だったが、そこでは一定時間以内にゲームをクリアしないと、監禁されている高橋名人が酸欠によって窒息死してしまうという、まさに“デスゲーム”さながらの修羅場に直面してしまうのである。

 高橋名人がさまざまなゲーム開発にかかわっていることから、このような悪事の数々に巻き込まれるという設定とはいえ、死亡寸前まで追いつめられる危機的状況に、戦慄した読者も多いのではないだろうか。

■“不正行為は”絶対に許さない! 『ファミコン風雲児』

 このように、ファミコン漫画にはあの手この手で悪巧みを企てる、“悪の組織”が登場するのがお決まりだ。卑劣な手段で人々を苦しめる悪党たちだが、1985年から『コミックボンボン』(講談社)で連載された池原しげとさんの『ファミコン風雲児』では思いがけない方法で、この悪の組織に対抗したシーンが描かれた。

 数あるファミコン漫画のなかでも本作が異色なのは、ファミコンを“ゲーム機”ではなく“コンピュータ”と捉え、情報技術全般に焦点を当てていた点だろう。それゆえにマニアックな専門用語が作中で飛び交い、ときにはゲームプログラムを改造してしまうような場面も登場した。

 そんな本作にも数多くの悪の組織が登場するのだが、悪党ゆえに数々の卑劣な“不正行為”を用い、主人公たちを大いに苦しめる。多くの作品の場合、この“不正行為”をいかに乗り越え相手にどう勝利するか……という点がバトルの見どころとなってくるのだが、本作が一味違うのは、主人公サイドがこの“不正行為”を逆手に取った“策”を労していた点だ。

 当然のように卑劣な手を使おうとする敵キャラクターたちに対し、なんと主人公たちは“不正行為”をおこなうと強烈な“電流”が流れる仕掛けを用意し、正々堂々と勝負せざるをえない状態を作り上げていた。

 もちろん、不正を行おうとする敵側に非があるのだが、“電流”というなんとも直接的かつ肉体的な反撃手段に驚いた読者も少なくはない。不正を用いる悪を絶対に許さないという、強い意思を感じざるをえないトンデモ展開だ。

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