アニメキャラが人気になる理由の1つに、声でキャラに命を吹き込む声優たちの存在は欠かせないだろう。作品ごとに容姿も性格もまったく違うキャラクターを同じ声優が演じていることも多くあり、その演技の幅の広さに驚かされてしまう。
たとえば、この夏公開予定の『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』にも登場する、野原しんのすけの父・ひろし役の森川智之さん。ほっこりした優しい声色を持つ森川さんだが、アニメ『鬼滅の刃』では鬼殺隊当主・産屋敷耀哉役を演じている。先日まで放送されていた「柱稽古編」では耀哉の心の裏に潜む“怒り”をもうまく表現し、最終話での演技も圧巻だった。
今回はそんなギャップがあるのに同じ声優が演じている、驚きのアニメキャラクターを紹介したい。
■対照的な男女のヒーロー!? ナウシカ&しょくぱんまん:島本須美さん
1984年に公開されたスタジオジブリの名作『風の谷のナウシカ』は宮崎駿さんの同名漫画によるアニメ映画だ。本作の主人公「ナウシカ」の声を演じていたのは、島本須美さん。1979年に声優デビューを果たして以来、日本声優界をけん引する名声優の一人だ。
そんな島本さんが演じたナウシカは、国民的知名度を誇る強く美しい人気女性キャラである。作中、キツネリスのテトに噛まれた際、静かな優しい声で「ほらね、怖くない」となだめた時のセリフが印象的だろう。
しかしその一方、島本さんは可愛らしいキャラの声も演じている。代表的なのがやなせたかしさんの絵本から生まれた『それいけ!アンパンマン』に登場する「しょくぱんまん」だ。
しょくぱんまんは作中屈指のカッコいいキャラで、敵役であるドキンちゃんの憧れの人でもある。敬語で話すことが多く、ちょっとキザなセリフを言う彼とジブリヒロイン・ナウシカの声が実は同じなのは驚きだ。
ほかにも島本さんは、『こびとづかん』のスピンアウトアニメ『ちょびっとづかん』にてキャラクターの一人「カクレモモジリ」&ナレーションなども担当している。こちらのナレーションを聞くと「あ、ナウシカだ!」と感じることもできるので、ぜひチェックしてみてほしい。
■クールとおふざけキャラの落差がすごい…リヴァイ&ぶりぶりざえもん:神谷浩史さん
神谷浩史さんは、深みがありつつ透明感のある声が人気の声優だ。神谷さんが演じた代表的なアニメキャラといえば『ONE PIECE』の「トラファルガー・ロー」、『黒子のバスケ』の「赤司征十郎」、『うる星やつら』の「諸星あたる」などが挙げられるが、なかでも人気を博したのが『進撃の巨人』の「リヴァイ・アッカーマン」だろう。
冷静沈着でときに冷徹な側面も見せるリヴァイだが、戦闘シーンになるとその力は規格外。クールなセリフと、戦闘シーンでの激昂する神谷さんの声に胸が熱くなった人も多いだろう。
しかしその一方、神谷さんはリヴァイとは真逆ともいえる声も担当している。それが『クレヨンしんちゃん』に登場する「ぶりぶりざえもん」(神谷さんは2代目)だ。
しんのすけの落書きから生み出された、豚の見た目をしたヒーロー・ぶりぶりざえもん。「私に良い作戦がある」などクールなセリフを言ったりもするが、本質はナルシストで欲張り、下品な一面があるなど、コミカルな要素を持つキャラクターだ。
そんなぶりぶりざえもんを神谷さんは面白おかしく演じており、ペットのシロに次ぐ本作のマスコット的愛されキャラへと成長させている。
ちなみに神谷さんは今期始まった『キン肉マン 完璧超人始祖編』にて、「アシュラマン」の声も担当している。これら対照的なキャラの声を聞き分けてみると、面白いかもしれない。