■関係が分かる貴重なシーンが多かった「柱稽古編」

 鬼殺隊の柱には女子が2人いるが、残念ながら「柱稽古編」で2人の交流はあまり描かれなかった。その理由は『鬼殺隊見聞録・弐』で書かれている、恋柱・甘露寺蜜瑠から蟲柱・胡蝶しのぶへの評価「女の子同士で一緒にもっと遊びたいけど時間がないの〜」にある通りだろう。しのぶは柱稽古には参加しなかった。どうやら独自に鬼舞辻無惨への対策をしているようだ。

 そんな2人の貴重な交流が見られるのはオープニング映像の中でだけ。廊下を歩く柱たちが列になって歩き、2人ずつで話をしており、しのぶが話すのに対し甘露寺もニコニコ笑顔で応えている。年相応の楽しい話をしているようでほっこりする貴重シーンだ。

 ちなみに、ここでも伊黒と不死川は隣同士で話をしており、不死川は口元に笑みもたたえている。また時透は岩柱の悲鳴嶼行冥と話をしており、ここでも冨岡はみんなから少し離れた一番後ろを一人きりで歩いている。この一枚のカットで柱同士の関係が手に取るようにわかってしまう。

 また、「柱稽古編」第五話のアニメオリジナルシーンでは、甘露寺と仲がいい炭治郎に対して嫉妬する伊黒の姿がかわいらしかった。伊黒と甘露寺はよく文通を交わしているようで、甘露寺からの手紙が来ると木刀をほっぽってまで物凄い速度で手紙を撮りに行く伊黒の姿は、これまでのイメージを一変させた。

 さて、「柱稽古編」で他の柱との交流がほとんど描かれていなかった悲鳴嶼はどうなのかというと、『鬼殺隊見聞録・弐』で一般隊士からの話しかけにくさは柱の中で3位となってしまっている。その理由は涙を流し念仏を唱える姿を怖がられているからのようだ。

 しかし他の柱たち全員から前向きな評価をされているのは彼と煉獄杏寿郎くらいのもの。打ち解け度も「90%」と煉獄に次いで高い。中でも「尊敬」「強い」というワードが並んでおり、実力・人間性ともに柱のトップだと言っても過言ではないだろう。

 あらためて見ると「柱稽古編」はここまでフォーカスの当たらなかった柱たちをさらに理解するのに必要なフェーズだった。彼らの人間性がわかるとなお、「どうか死なないで」と応援したくなる。

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