ノリス・パッカードにサウス・バニング、セルゲイ・スミルノフも…大人になった今憧れる歴代『機動戦士ガンダム』シリーズ「いぶし銀」の漢たちの画像
画像はU.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(バンダイナムコアーツ)

 さまざまなキャラが登場する『機動戦士ガンダム』シリーズ。筆者が子どものころは登場キャラと比較的年齢が近いこともあり、ガンダムに乗って活躍する主人公たちに共感しながら見ていた。

 一方、当時は渋いベテランキャラがめちゃくちゃオジさんに見えてしまい、正直彼らの本当の魅力が分かっていなかったように思う。しかし自分が大人になった今、あらためて彼らを見てみると、その評価が変わってくるから不思議だ。

 そこで今回は、歴代『機動戦士ガンダム』シリーズのなかから、大人になった今憧れる「いぶし銀」の漢たちを振り返っていく。

■忠義の漢『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』ノリス・パッカード

 1996年から1999年にかけて製作されたOVA作品『機動戦士ガンダム第 08MS小隊』、そこに登場したノリス・パッカードは、まさにいぶし銀の漢だった。

 ノリス・パッカードは、東南アジア戦線においてギニアス・サハリン少将のもとで副官を務めたジオン公国軍の強面の軍人だ。出自が良いゆえにどこか夢見がちなギニアス、アイナのサハリン兄妹を公私ともに支え、最期までサハリン家に忠誠を尽くす姿が非常にカッコよかった。

 第10話「震える山(前編)」で、追い込まれたジオンアジア方面軍は、アイナの進言により巡洋艦ケルゲレンに負傷兵を乗せ宇宙への脱出を図る。ノリスはこの作戦自体には「基地を放棄 軍人としては無能の証明だな」と嘆きつつも、「アイナ様の望みがケルゲレンの脱出ならそれを助けるのが軍人としての私の役目 見事脱出ルートを確保して御覧に入れる!」と言い、グフ・カスタム単騎で出撃。そこではシロー・アマダが乗るガンダムEz8、陸戦型ガンダム2機と量産型ガンタンク3機を一人で相手取る。

 ノリスのやるべきことは明確だった。脱出時、足の遅いケルゲレンの障害になる大砲持ちの量産型ガンタンク3機の撃破だ。ヒート・ワイヤーやガトリング砲を駆使し量産型ガンタンク2機を次々と沈め、残るは一機。

 途中、ガンダムEz8のパイロットがアイナの想い人・シローであることを知り動揺する場面もあったが、覚悟を決めたノリスは仕掛け、ガンダムEz8に自機のコックピットを切らせる。そして、その隙をついて残る量産型ガンタンクにガトリング砲を撃ち込み、そのすべてを撃破してみせた。

 忠誠を誓ったサハリン家のため、自分を親代わりだと言ってくれたアイナのため、最期は鬼人のような活躍を見せ散りゆく姿は見事だった。

■部下想いで人望も厚い『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』サウス・バニング

 1991年から1992年にかけて制作された『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』、そこに登場したサウス・バニングも大人になった今だからこそより魅力を感じるキャラだ。

 サウス・バニングは肌が浅黒く皺の深さが特徴的な39歳。一年戦争時は“不死身の第4小隊”としてその名を轟かせたエースパイロットであり、戦争が終結した宇宙世紀0083年が舞台である本作では、オーストラリア・トリントン基地で主人公コウ・ウラキをはじめテストパイロットの教官として登場する。

 ジオン軍の残党、“デラーズ・フリート”によるガンダム試作2号機強奪事件が発生すると、実戦に動転しまくるコウを「ミサイルのシャワーぐらいでビビるな!」と一喝。奪われたガンダム試作2号機を取り戻すべく、コウ・ウラキ、チャック・キースら実戦経験の乏しい追撃チームを連れて出撃する。途中、コウが「大尉 先ほどはすみませんでした その…自分が何をしたらいいかわからなくなってしまって」と、反省を述べると「だから俺がいる そういうことだ」と声をかけるなど、ひよっこパイロットたちにかける言葉のすべてが渋い。

 しかしその追撃作戦は失敗し、左足を負傷したバニング。その後、2号機奪還のためモビルスーツ部隊隊長に選任され、松葉杖をついてアルビオンに乗艦する。ガンダム試作1号機が大ダメージを負ったコウの危機には、足のギプスを叩き割って自らモビルスーツに乗り込んで出撃するなど、熱い姿を見せる場面もあった。

 そして第8話「策謀の宙域」。シーマ・ガラハウの部隊との戦闘では、被弾しながらもこれを退け、敵の機密文書まで手に入れる活躍を見せる。しかし被弾によって回路からスパークが出て不運にも推進剤に引火……ジム・カスタムともども爆散してしまうという思いもよらない最期を遂げることとなる。

 バニングの死を知った多くのクルーや部下が涙を流していたことからも、彼の人望が伺えた。

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