■【第一次ネオ・ジオン抗争】リィナの命の恩人として登場
アニメ『機動戦士ガンダムZZ』で描かれた第一次ネオ・ジオン抗争(U.C.0088)では、姿をまったく見せていなかったセイラ。しかし、終盤の第46話「バイブレーション」で、死んだと思われていた主人公ジュドー・アーシタの妹であるリィナ・アーシタの命の恩人として、ブライト・ノアの前に現れる。
そこでは、現在は投資家として地球で暮らしていることが明かされ、またミライに頼まれたのだろうか、ブライトに家族ビデオを手渡していることから、ブライト家とは交流が残っていることが伺えた。
また、今もなお戦い続ける兄・シャアの話題になると「そんな兄は見たくないと いっそ死んでくれれば」と、PS用ゲーム『機動戦士Zガンダム』のムービーと同様に、シャアの死を望むような発言をしていたのが印象的だった。
さらに、最終話である47話「戦士、再び……」にもセイラは登場している。ハマーン・カーンに勝利し、木星へと旅立つことを決めたジュドー。一方、兄の決心が揺らいでしまわないかと再会をためらうリィナに対して、セイラは「あなたはお兄さまをバカにしているわ」と言い、大丈夫と背中を押して2人を引き合わせる。
セイラとシャア、遠く離れて複雑な関係になってしまった自分たちがあるからこそ、リィナに対する彼女の優しいアドバイスだったように思う。
■【第二次ネオ・ジオン抗争】セイラと思われる女性の姿が…
続く映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれた第二次ネオ・ジオン抗争(U.C.0093)では、残念ながら登場はなかった。
しかし、メディアワークス刊『データコレクション7 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』の挿絵では、セイラらしき人物が描かれていた。街頭の大型テレビジョンに映し出されるネオ・ジオン総帥のシャアに皆が注目するなか、一人背を向けて立ち去ろうとする女性、その容姿や行動からセイラではないかと言われているのだ。
さらに、ホワイトベースの3人組“カツ、レツ、キッカ”のキッカ・コバヤシが主人公となる『機動戦士ガンダム ピューリッツァー -アムロ・レイは極光の彼方へ-』(原案・矢立肇氏、富野由悠季氏、脚本・大脇千尋氏、作画・才谷ウメタロウ氏)にも登場している。
セイラは抗争終結翌年(U.C.0094)、イギリスの港町でリィナとともに暮らしていた。成長し作家を目指しているキッカのインタビューを受けたセイラが、アムロやシャアについて語る様子があった。
今回はセイラ・マスの気になる「その後」についてまとめてみた。一年戦争以降、セイラは表舞台からは姿を消し、戦災孤児を支援する活動、さらには兄・シャアの死を望む発言など、兄の行動を否定するような言動を取り続けている印象だ。
その一方で、ファーストガンダムで見せた以上に誇り高く美しい女性に成長し、カリスマ性さえあるその姿は、皮肉にも否定し続けた兄の姿に通ずるものがあった。セイラは一年戦争以降出番こそ少なかったが、やはり『ガンダム』シリーズには欠かせない存在だといえるだろう。