『ドラゴンボール』に『ONE PIECE』、『NARUTO』にも…名作漫画には必要不可欠? バトル主人公が負ける「衝撃の展開」の画像
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 名作漫画でたびたび見られる「主人公の“負け”シーン」。このような主人公の“負け”は、主人公の大きな成長のきっかけとなり、その後のストーリーにも深みを与えるものだ。ただその一方で、読者に大きな衝撃と絶望を与えるのも事実である。

 そこで今回は、とくに衝撃的だった主人公の負け展開を、名作漫画から紹介したい。どのような勝負だったのか、そして、そこから主人公がどのように復活し成長したのかを振り返っていこう。

■悟空初!? 命の危機『ドラゴンボール』レッドリボン軍編・桃白白戦

 1984年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった、鳥山明さんの名作『ドラゴンボール』。最新の『ドラゴンボール超』では“身勝手の極意”を身につけ、さらなる強さを見せている孫悟空だが、実は意外と“負け”が多い主人公でもある。

 序盤は空腹のためヤムチャに敗れたことをはじめ、初出場の第21回天下一武道会決勝では亀仙人扮するジャッキー・チュンにも敗れている。しかし、いずれの戦いも命の危機を感じさせるものではなかった。

 そんな悟空、死を感じさせる初の大きな“負け”だったのが、コミックス第8巻「レッドリボン軍編」にて描かれた、“世界一の殺し屋”桃白白との戦いだ。

 投げた柱に乗って悟空のいる聖地カリンまでやってきた桃白白は、到着するや否や、聖地カリンを守るボラを殺害。悟空もあっさりと蹴り飛ばされてしまう。渾身のかめはめ波も桃白白にはまったく効かず、逆にどどん波を胸に受け完敗してしまった悟空。

 先のブルー将軍との戦いではペンギン村でアラレちゃんと共闘するなど、物語自体が非常に盛り上がっていただけに、読者にとってはなおさら衝撃的な敗北であった。

 その後、悟空の死を確信し立ち去った桃白白。ボラの息子・ウパはボラを失った悲しみのなか、続いて悟空を埋葬しようとするのだが、ここでひょっこりと目を覚ました悟空。じいちゃんの形見でもある四星球を胸に忍ばせていたことにより、一命を取り留めたのだ。

 そして、ボラを生き返らせるためにドラゴンボールを集めることを悟空は決心し、カリン塔に登る。過酷な修行を繰り返して挑んだ桃白白とのリベンジマッチでは、因縁のどどん波を素手で防ぐなど桃白白を圧倒してみせた。

 このときはもちろん「サイヤ人は死の淵からよみがえるとパワーが増す」という設定はなかったのだが、この桃白白との戦いにもそのサイヤ人の特性の影響があったと考えると、非常に面白い。

■麦わらの一味まさかの敗走『ONE PIECE』シャボンディ諸島編

 現在、その地位を“四皇”とし『ONE PIECE』(尾田栄一郎さん)作中でも大きな存在となった主人公のモンキー・D・ルフィ。しかし彼も「シャボンディ諸島編」にて、大きな“負け”を経験している。

 オークションでケイミーを落札し、ハチを容赦なく銃で撃った天竜人・チャルロス聖。その横暴さに我慢できずルフィが彼を殴り飛ばしたことにより、大将・黄猿を筆頭に海軍の一大勢力が招集されてしまう。ちなみに、このとき黄猿は大砲の玉に乗って現れたが、先ほどの桃白白といい、強敵は変なものに乗って移動するのが好きなようだ……。

 戦桃丸とパシフィスタ相手に大苦戦し、さらに黄猿も現れ窮地に陥った麦わら海賊団。そしてルフィは「全員!!! 逃げる事だけ考えろ!!! 今のおれたちじゃあ こいつらには勝てねぇ!!!」と衝撃の決断を下す。

 しかしそんななか、パシフィスタのオリジナルである王下七武海・バーソロミュー・くままでもが登場。そして、彼のニキュニキュの実の能力で、ゾロをはじめ仲間たちが次々と飛ばされ、姿を消されてしまうのだ。「仲間一人も゛…!!! 救えな゛い゛っ…!!!!」と泣き崩れるルフィの姿が痛々しく、非常に絶望的なシーンだった。

 その直後、自身も女ヶ島アマゾン・リリーへと飛ばされたルフィ。この島で覇気を覚えるきっかけを掴み、「大監獄インペルダウン編」「マリンフォード頂上決戦編」へと突入。そして2年後、各地で力を付けた麦わらの一味が、再びシャボンディ諸島に集結する熱い展開と続いていった。

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