アッザム、ビグロ、ザクレロ…『機動戦士ガンダム』でアムロを苦しめた「地味だけど強い」モビルアーマーの実力の画像
バンダイのプラモデル『1/550 ザクレロ』パッケージより

 一年戦争を描いた初代『機動戦士ガンダム』では、主人公アムロ・レイが、数々の敵と激闘を繰り広げた。シャア・アズナブルが乗る専用の赤いザクをはじめ、ランバ・ラルのグフや黒い三連星のドムなど華々しい敵機体がある一方、それらの影に隠れてしまった機体も存在する。

 そこで今回は、そのなかでも「こいつだけは地味に強かった」機体を、作中での活躍とともに紹介したい。

■表面温度を4000度に…! ガンダムを停止させた「アッザム」

 第18話「灼熱のアッザム・リーダー」に登場した、ジオン公国軍の試作型MA、型式番号MAXー03「アッザム」。4基の接地用ダンパーのついた重機動砲座は、ザクやガンダムなど汎用性の高い人型MSとは異なる設計コンセプトで作られており、MAの原型ともされる機体だ。

 作中では、少将キシリア・ザビが、マ・クベのいる第102鉱山基地に視察に来た際、このアッザムを送り届けていた。そして、この鉱山基地がアムロにより発見され、単身乗り込んで来たガンダムとアッザムが戦闘となる。

 マ・クベがアッザムを操縦し、キシリアも「直接連邦軍のMSを見たい」と同乗した。機体四方上下に配置された2連装メガ粒子砲は、回数制限があり、十分な出力が出ていなかったとされているが、それでもアムロの乗るガンダムを苦しめた。

 さらに、ホワイトベースなどの艦艇に搭載される大気圏内浮遊システム“ミノフスキークラフト”で浮かび上がることも可能で、ガンダムの上を取ると機体底部からカプセルに封入されたリーダーを射出。粉末を撒き散らし、その周りをワイヤーで取り囲むことで強力な放熱磁場を発生させた。

 この攻撃によりガンダムは表面温度が4000度にもなり、身動きが取れなくなってしまう。最新鋭のガンダムにとっても相当の緊急事態だったのだろう「パイロット及び回路保護のため、全エネルギーの98%を放出中」と、作中ではおそらく最初で最後、音声を出してアムロに危険を知らせていたのが印象に残る。

 ちなみに、この戦闘ではアッザムをなんとか退けることに成功したガンダム。しかし、それに脅威を感じたキシリアに、テスト中のMS及びMAの実戦配備を急がせるきっかけを与えることとなる。そしてこれ以降、水陸両用のMSや大型のMAなど多様な機体が登場するようになった。

■アムロを失神させ、ギリギリまで追い詰めた「ビグロ」

 第31話「ザンジバル追撃!」に登場したジオン公国軍の宇宙用量産型MA、型式番号MAー05「ビグロ」。緑を基調としたカラーリングに、一説ではその名の由来となったとも言われている、左右に大きく伸びた腕(ビッグ・クロー)が特徴の機体だ。

 再びホワイトベースが宇宙に上がった際、それをシャアの指揮するザンジバルが追撃。そしてトクワン大尉が搭乗したビグロが、リック・ドム2機とともにホワイトベースを強襲した。

 衛星軌道上、常に地球の重力に引っ張られる特殊な環境のなか、2基の熱核ロケットエンジンからなる優れた機動性でセイラ・マスのGブルイージーと、アムロのGスカイを圧倒するピグロ。

 アムロもドッキングしガンダムとなって応戦するが、ビグロの大きな装甲に引っかかり、その加速度のショックで一時的だが気絶してしまう。それほどまでに、ビグロの加速度は凄まじかったのだ。黒目の焦点が合わず、ヨダレを垂れ流すアムロ……。第7話にて、コア・ファイターに乗って弾道軌道へ飛び出したとき以来の失神となった。

 その後、運良くビグロのアームに掴まれた衝撃によって意識を取り戻したアムロは、ビグロのメガ粒子砲を回避。ビグロの開いた砲門からビーム砲を撃ち込み、撃墜させるのであった。敗れてしまったものの、アムロのガンダムをギリギリまで追い詰めてみせた。

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