■「親ってのはな子どものためならなんでもできるものなのさ」『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』
『クレヨンしんちゃん』劇場映画第30作目、2022年公開の『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』。
本作は、大雨のなか病院へ急ぐひろし、生まれたばかりのしんのすけを抱くみさえと、しんのすけの誕生当日の様子が見られるファンとしても非常に貴重なシーンからはじまる。
しかし、それから5年後、この日同じ病院で子どもを産んだ屁祖隠ちよめが、病院のミスで赤ちゃんの取り違えをしてしまったと、5歳の少年・珍蔵を連れて野原家に現れる(……もちろんこれは、珍蔵を守ろうとしたちよめの嘘であった)。
その夜、野原家はちよめを連れ戻しに来た忍者たちから襲撃を受け、珍蔵と間違えられたしんのすけはちよめと一緒に忍者の里へ連れ去られてしまう。
残された珍蔵とともに忍者の里を目指す野原一家。その道中、忍者の里から送られてきた影の刺客により何度も行く手を阻まれるが、ひろしとみさえはその都度撃退。忍者の里への侵入を阻む関所でも、ひろしは“忍法おやじのくつ下大車輪”(ただの臭いくつ下のぶん回し)で難を切り抜ける。
「すごい! どうして忍法が使えるんですか?」と純粋な目で問う珍蔵に対して、ひろしは「親ってのはな 子どものためならなんでもできるもんなのさ」と答えるのだ。当たり前かもしれないが、子を持つ親なら誰しもが共感できる言葉だろう。
その後、無事にしんのすけと再会を果たしたひろしとみさえ。両親に抱かれ、嬉しさから珍しく涙を流すしんのすけの姿も印象的なシーンだった。
今回は、映画『クレヨンしんちゃん』泣ける野原ひろしの名言を紹介した。いずれも親なら誰しもが共感できる飾らないとても自然な一言であり、だからこそ、ひろしの言葉は人々の心に刺さるのだろう。
アニメがはじまった当初、筆者はしんのすけに近い年であった。現在ではひろしよりも年上となってしまった。そういった意味で、今回のひろしの名言も当時とはまた違った印象を受けた。
今年8月9日には劇場版31作目となる『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』が公開される。本作でもひろしの名言は飛び出すのだろうか。大人になり長く『クレヨンしんちゃん』映画から離れてしまった人も、この機会にぜひ見返してみてほしい。