■ごくわずかの登場ながら笑顔が印象的な青年

 最後はアニメ版『無限列車編』第二話「深い眠り」から登場した、無限列車の乗客の1人である結核の青年を紹介したい。

 下弦の壱・魘夢の指示に従い、無限列車内で4人の若者が炭治郎、善逸、伊之助、煉獄それぞれの無意識領域に入った。

 その中でも炭治郎の心に入った彼は、当時不治の病とされていた結核を患い、これまで毎日を絶望して過ごしていたようだ。そういった現実から逃げたい気持ちがあったためか、魘夢に幸せな夢を見せてもらうために、彼の下で炭治郎の精神の核を破壊しようとしていた。

 しかし、炭治郎の無意識領域の美しさとあたたかさに触れ、結核の青年は炭治郎を倒す気が起きなくなる。その後は目覚めた炭治郎を応援し、笑顔で送り出した。

 登場シーンはわずかだが、炭治郎に出会ったことで救われたように優しい表情を見せたこのキャラクターはかなり印象的だった。

 物語のメインでは語られないところでも、鬼によって虐げられた人は数え切れないほど多く、そしてそんな絶望の最中でも鬼殺隊に救われた人はたくさんいるのだろう。語られない物語の深みを感じさせるモブキャラクターたちを最終決戦の前に振り返ると、ますます鬼殺隊の歩んできた努力の軌跡を感じる。

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