■本能のままに暴れる呪霊『呪術廻戦』黒沐死
最後は、芥見下々氏の『呪術廻戦』(集英社)に登場する黒沐死の攻撃を紹介したい。黒沐死は呪霊だが、作中で類を見ないほど本能のままに生きているのが印象的である。無限とも思える食欲に突き動かされて、人肉を喰らい続けるのだ。
見た目もゴキブリ人間そのもので、まともに会話が通じるのかも分からない。「私ハ 鉄ノ味 ガ好キ ダッ」と叫び、人間の血液の味を好んでいるところからもかなり不気味だ。そんな呪霊だからこそ、誰も相手にしたくないタイプといえる。しかも、ゴキブリの大群を操って襲いかかってくるので、見ているだけで気持ち悪くなってしまう。
他にも所有している武器「爛生刀」には卵が付いていて、これで斬られると傷口からゴキブリが孵化して相手の内部から食い破る。すべての攻撃がおぞましいとしかいいようがない。
そんな黒沐死は、死滅回游のプレイヤーとして登場した途端、無差別に攻撃を開始する。不運にも巻き込まれた一般人が黒沐死の術によって食い殺される様は地獄絵図そのものだった……。乙骨がすぐに助けに入ったからまだ良かったものの、彼がいなければどうなっていたのかと考えると恐ろしい。
蟲は一匹では大した力もないが、群がることでスゴい力を発揮するのが特徴だ。そんな蟲を駆使する蟲使いたちは作中で圧倒的な強さを見せつけ、独特の存在感を放っている。
ただその特性上どうしてもグロい描写がつきものなので、それほど活躍シーンがないところが残念だ……。