■海賊の雑用が海軍の英雄に!『ONE PIECE』コビー
海洋冒険ロマン『ONE PIECE』(尾田栄一郎氏)には1000を超えるキャラクターが登場するが、そのなかで「最初は情けなかったのにカッコ良くなったキャラ」をひとり挙げるなら、やはり海軍本部大佐・コビーではないだろうか。
今でこそ「海軍の英雄」と讃えられるコビーだが、初登場時はアルビダ海賊団の一味、しかも無理やり働かされている雑用係だった。
弱虫な性格でアルビダに逆らうこともできない根性なしのコビーはみっともなく、ルフィが「おれ お前キライだなー」と笑い飛ばすほど。
それでも海兵になる夢を目指そうと決めたコビーは、ルフィや海軍本部中将ガープとの出会いをきっかけに、海軍本部の一員となる。
「エニエス・ロビー編」では短時間とはいえルフィと戦えるまでに成長し、見た目も雑用時代とは似ても似つかない引き締まった姿に。その変貌ぶりにルフィはもちろん、読者も驚いたものだ。
その後もコビーは躍進を続け、現在進行中の最終章では師匠ガープにヒケをとらない実力者にまで成長した。海賊の雑用として登場したコビーが、今や海軍でも指折りの猛者になるとは……一番予想していなかったのは、コビー本人に違いない。
サブキャラの成長劇は、情けない時期があるからこそ人を惹きつける。まるで現実の人間のように等身大の弱さを抱えたキャラだからこそ、カッコいい活躍を見せたときのカタルシスは大きくなる。人によっては「自分もがんばろう」と思うこともあるだろう。
主人公と肩を並べるほど立派になった彼らの姿に、我々読者は勇気づけられているのかもしれない。