■不良に絡まれる鉄男……そのピンチに現れたのは?
本作と言えば、湘北高校の体育館で起きた“バスケ部襲撃事件”も印象深いエピソードだろう。三井の不良仲間のなかでも無類の強さを見せたのが、タンクトップ姿の鉄男だ。騒動後、バスケ部に復帰した三井と街で偶然出会った彼は三井を応援するかのように「じゃな スポーツマン」と言い、バイクにまたがり渋く去っていく。
原作においては、それ以来登場していない鉄男だが、実はアニメオリジナル展開で再登場している。アニメ第34話「ゴリ直伝・眼で殺せ!」、第35話「男たちの熱き想い」でのこと。
インターハイ神奈川予選3回戦・高畑戦前。三井が会場に向かっていると、不良集団に追われバイクで逃げる鉄男の姿があった。三井がそれを追うと、かつての不良仲間・竜とその連れである鑑別所帰りの鬼頭を中心に、鉄男が集団リンチを受けているところに出くわしてしまった。さすがの鉄男も多勢に無勢……三井もすかさず止めに入るが、バスケ部に戻った彼には何もできず、大事な試合前に逆に絡まれてしまう。
そのピンチに現れたのが桜木と桜木軍団である。襲撃事件から桜木軍団の株は爆上がりだ。その後、鉄男も復活。最終的に「急がねえと試合が始まっちまうぜ」と、三井と桜木を試合に向かわせるのだった。
かつて騒動では敵同士であった桜木軍団と鉄男が背中を預けるシーンには、シビれるものがあった。最後は、竜をボコボコにして決着がついた、アツいアニメオリジナル展開だった。
■シュート2万本の練習期間に起きていた青春エピソード
最後は、桜木のシュート2万本の練習期間に起きていた、アニメオリジナルの青春エピソードを紹介する。
インターハイを10日後に控え、静岡へ合宿に向かった湘北メンバー。一方、桜木は安西先生とともに神奈川に残り個人練習をすることに。晴子や桜木軍団の協力もあり、桜木がシュート2万本をやり遂げるという展開は、原作の漫画でも描かれていた名エピソードだ。
アニメ第95話「花道の最も熱き一日」、個人練習の過酷さに倒れ込む桜木、それを見かねた晴子は、気分転換に桜木を夜の縁日に誘う。こうしてこの話数では、縁日で起きた出来事を含めたアニメオリジナルの展開が続いていく。
縁日で晴子と二人っきりになり、ここぞとばかりに告白しようとする桜木。さらにはチンピラに絡まれたところを桜木軍団が駆けつけてくれるアツい展開、そして最後には、安西先生が差し入れしてくれたスイカをみんなで楽しむという夏の思い出が描かれていた。
アニメオリジナル展開によって、桜木のシュート2万本の裏側にはこんな素敵な青春の1ページがあったことが分かった甘酸っぱいエピソードだった。
今回は、アニメ『SLAM DUNK』で描かれたちょっとビックリだったオリジナル展開を紹介してきた。いずれも原作にはない描写の数々で、筆者を含めた当時の視聴者たちを楽しませてくれた。
近年ではここまでの追加要素をアニメオリジナルで展開するのは少なくなっているが、それでも時折見られる原作にはない展開を見るとワクワクしてしまうものだ。今後も素敵なアニメオリジナル展開を期待している。