■不死川兄弟に「幸せになってほしい」「切ない」

 今回の放送回のもう一つの見どころといえば、不死川実弥と玄弥の兄弟の確執だろう。サブタイトルの「鬼を喰ってまで」は、玄弥の「俺…鬼を喰ってまで…戦ってきたんだぜ…」のセリフから。その言葉を聞いた実弥は足を止め、玄弥の両目を潰そうとする。

 兄を慕い、どうにか和解したい玄弥と、聞く耳を持たず、弟を除隊させるためにためらいもなく再起不能にしようとする実弥。ボタンを掛け違えたようにわかり合えない2人の様子に、SNSでは「二人には幸せになってほしい」「不死川兄弟のそれぞれの気持ちを思うと切ない」「どうか話し合ってほしい」という声があふれた。

 さて今回は、本作におけるコメディ担当ともいえる善逸の久しぶりの登場も見逃せない。原作漫画では、善逸が不死川の稽古から逃亡した後に捕まるシーンで「ギョマッ」「ギャモッギャアアアンヌ」という人間の声とは思えないセリフが書かれていたが、善逸の声を演じる声優の下野紘さんはこれ以上ないほどに見事にセリフを完全再現。善逸ファンも大満足の、満を持しての登場となったようだ。

 モブ隊士たちとの炭治郎との交流や、先述の善逸の活躍もあって全体的にコメディタッチの内容だったが、伊黒との稽古シーンのヌルヌルと動く激しいアクションや、不死川兄弟のシリアスシーンなど、シーンにおける差の激しい回だったといえるだろう。

 また振り返ってみると、今回は3人の柱の稽古について駆け抜けるような展開だったからこそ、一話で不死川と伊黒が共闘するというアニオリが新しく描かれたのかもしれない。

 次回、第六話「鬼殺隊最強」では、ついに鬼殺隊最強といわれる岩柱の悲鳴嶼行冥の稽古が始まる。こちらは2019年のアニメ1期からこれまで、ほぼ登場シーンのなかった悲鳴嶼が炭治郎らの稽古をつける。彼のパーソナルな部分を描くのに、アニオリでたっぷり時間をとってくれそうだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3