■雨降って地固まる!? さらに成長した主人公の姿『ドラゴンボール』
最後は鳥山明さんの国民的人気漫画『ドラゴンボール』(『週刊少年ジャンプ』集英社)に登場した雨のシーンを紹介したい。
本作の人気イベントである「天下一武道会」。その23回目の大会では、主人公・孫悟空をはじめお馴染みメンバーが激しい雨のなか、待ち合わせをするシーンから始まる。相変わらずの亀仙人やウーロン、さらに大人びて美しくなったブルマが再会を果たし喜ぶなか、「おっす!」「じっちゃん 生き返ってよかったな!」のセリフとともに、一段と成長した悟空が登場するのだ。
見慣れないターバン頭で現れた悟空に最初は誰だか分からない様子を見せる一同だったが、徐々に雨が弱まるのとともにターバンをほどき、お馴染みのヘアスタイルが登場する。たくましい青年となった悟空の姿に、お馴染みのキャラたちはもちろん、多くの読者が驚いたことだろう。
悟空はそれまで子どもキャラとして数々の困難に立ち向かってきた。「雨降って地固まる」ということわざは、“それまで色々な困難があったものの、前より良い状態になっていること”を意味する。
この雨の待ち合わせシーンは、そんな悟空の状態を表すのにピッタリのシチュエーションであり、これからの悟空の活躍をさらに予見する演出だったとも言える。
雨の日が続くと、ちょっと嫌な気分になってしまうこともあるだろう。しかし漫画のなかで雨のシーンは、それまでとは違う気分や雰囲気を演出するのにピッタリであり、なくてはならない描写だ。
とくにちょっと気の滅入る梅雨の時期は、お気に入りの漫画を読んで天候も気分も晴れるのを待ってみてはいかがだろうか。