■そのケチっぷりはアニメでも健在! 野原せまし
野原一家の大黒柱として活躍する父・野原ひろしは、冴えないサラリーマンでありながらも家族のために奮闘する姿が魅力的なキャラクターだ。そんなひろしには“せまし”という兄がおり、原作漫画にもたびたび登場している。
せましは顔立ちこそひろしそっくりなのだが、性格はとにかくケチで心が狭く、器が小さいエピソードには事欠かない。たとえば、野原一家が住む埼玉まで地元・秋田からヒッチハイクで数週間かけて移動し旅費を節約するなどし、しんのすけにも「秋田一のケチ」とまで言われる始末なのである。
ひろしのルーツにもかかわる重要なポジションのキャラクターであるせましだが、なぜかアニメ版では長らく登場しておらず、彼の登場シーンのみカットされたり、ときには家系図から存在が抹消されるなど、なかなか不遇な扱いを受け続けていた。
このまま消えてしまうかに見えたが、なんとアニメ30周年を記念して放映された2022年のエピソード「野原さんと物語〜遅れてきたせましSP〜」にて、ついに初登場を果たしたのである。
原作同様、ヒッチハイクで埼玉までやってくるのみならず、親から渡されたお土産の饅頭を道中で食べてしまう脅威のケチっぷりを披露。加えて、ひろしとは違って足が臭くないといったアニメオリジナル設定も追加された。原作とは異なる時間軸で登場してしまったため、しんのすけからは「おじさんがいたなんて聞いてない」と驚かれていたが……。
30年の長い月日を経てついにアニメに姿を現した、なんとも珍しいレアキャラといえるだろう。
あるときを境にフェードアウトしたり、あるいは数十年のときを経て初登場したりと、『クレヨンしんちゃん』には普段何気なく見ているだけでは気付きにくい意外なレアキャラクターも多い。
アニメ版では設定が変わっているキャラクターも多く、原作漫画と見比べてみるのも一興だろう。