■最後にウールはどうなった?
そんな板垣さん演じるウールは物語中盤、仲間であるスウォルツによって自身もアナザーライダーへと変貌させられてしまう。そこでは無事生還するが、そのことをきっかけにスウォルツに対して疑念を抱くようになり、真実を知るための動きを取るようになる。
そして、“自分が王になる”というスウォルツの真の目的を知ったウールは、スウォルツから力を奪われたオーラとともに逃亡し、ソウゴの暮らすクジゴジ堂にかくまわれることとなる。帰る場所がないウールに対して、ソウゴが「クジゴジ堂を家だと思ってもいいんだよ」と言い信頼関係を築き始めるこの場面はぐっとくる。個人的に大好きなシーンだった。
ウールとオーラもこれから仲間になっていくのかなと思っていたのだが、その矢先、第45話「2019:エターナル・パーティ」にて、突如裏切ったオーラによりウールは胸を貫かれ、最後はソウゴの腕の中で悲しく息を引き取ってしまう。ストーリーに大きな影響を与えたウールだが、残念ながら最終回目前で途中退場となってしまった。
ちなみに裏切ったオーラはその後、ウールを処刑したことでスウォルツに近づき、自分とウールを騙して利用してきたスウォルツに一太刀入れようとする。しかし、それさえもスウォルツには見透かされており、そのまま返り討ちに遭いオーラも途中退場となっている。
本編では報われないウールとオーラだったが、最終回「2019:アポカリプス」のエンディングにて再構成された世界では、ソウゴと同じ光ヶ森高等学校に通う高校生として二人仲良く登場していた。
そのときのウールは「タイムジャッカー」のコスチュームではなく学生服を着ており、ソウゴを「王様先輩」と呼び慕う姿は本当に幸せそうだった。
『仮面ライダージオウ』で板垣さんが演じたウールは、新CMのどんぎつねと同様、かわいく無邪気な少年であった。しかしその見た目とは裏腹に人々を混乱に陥れ、それを楽しむ残忍な「タイムジャッカー」であり、最期は仲間に裏切られるという可哀そうなキャラでもあった。ただ、そのすべての要素が、ウールの悪役としての魅力を高めていたように思う。
ウールは、板垣さんの役者としての魅力を存分感じることができる、そんなキャラであった。くるくると表情を変える板垣さんの活躍を、この機会に振り返ってみてはいかがだろうか。