■昨日すれ違った人は実は…!? 『東京伝説』
原作:平山夢明氏、作画:烏山英司氏による『東京伝説』は隔月刊で発行されていた『NEMESIS』(講談社)で2018年から、その後『コミックDAYS』で掲載されたホラー漫画だ。本作は、平山氏の同名ホラー小説シリーズを原作としており、現代社会に潜む不条理や、身近に潜む恐怖をテーマに描かれている。
『東京伝説』の内容はこうだ。26才の女性編集者・阿川保奈美は、バーで出会ったイケメンと一晩を過ごす。しかし夜中に目が覚めると男は髪の毛を切る怪人に豹変しており、保奈美は逃げ出した先で謎の少女・不識誘らによって助けられる。それ以降、保奈美は誘の専属ライターとなり、東京で起きる不可解な事件や怪奇現象を収集していくのであった。
『東京伝説』は実話をベースに作られた作品とあって、なんとも言えない気持ち悪さがある。タイトルも「ラーメンの男」や「ランナーの男」など、どこにでもいそうな人を取り上げているのが怖い。読み終わったあと、“実は昨日すれ違った人ももしかして……?”と、つい人間を疑いたくなってしまう内容なのだ。リアリティの高い画力も相まって、ホラー耐性の少ない人には要注意の作品だ。
ホラー漫画は昔から人気のあるジャンルだが、“本当にあった”という言葉が付くとさらに恐ろしさは増す。その理由はフィクションの恐怖とは異なり、実際に起こり得る出来事としてのリアリティが加わるためだろう。
徐々に季節が暑い夏へと移り変わってきた現在。涼しい気分になりたいときは、今日ご紹介した実話をもとにしたホラー漫画をじっくり読んでみるのも良いだろう。