■開発者とユーザーの味方になった 『スーファミターボ』

 スーパーファミコン本体の発売以降、ソフトの価格は年々高騰していき、1万円を超えることも珍しくなくなっていった。その原因は、ソフトの大容量化とそれに伴う開発費の増加だと言われている。

 そういった問題を受けて開発費を削減し、安価でスーファミソフトが発売できるようにした周辺機器が、1996年にバンダイから発売された『スーファミターボ』。

 これは、スーファミのスロットに『スーファミターボ』本体を差し、さらにこの『スーファミターボ』に小型の専用カートリッジを差して遊ぶというもの。『スーファミターボ』本体に基本となるプログラムや文字フォントが入っており、ゲーム開発者はそれを利用することで、プログラミングの工数や容量を節約できるようになっている。そのため、開発費が安価となり、ソフトの定価も抑えられ、いずれの専用ソフトも3980円という値段で発売された。

 また、『スーファミターボ』にスロットは2箇所用意されており、片方にゲームソフトを差し、もう片方に拡張ソフトを差して、追加のシナリオを遊んだり、友だちのカセットとのデータのやり取りができたりという拡張性もあった。

 残念ながら売り上げが振るわなかったため、対応ソフトは少ない。とはいえ、現代でも問題となっている、ハードのスペックアップによるソフトの開発コスト増加に、いち早く着目し、実際に改善を計った『スーファミターボ』は、レトロゲーム時代の画期的な周辺機器と言えるだろう。

 以上、バンダイの野心的な周辺機器を3つピックアップして紹介した。どれも知名度やセールスの面で苦戦したものばかりだが、そのアイデアと存在感は今の時代でも光っている。

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