■【番外編】パワーはないが口は達者『北斗の拳』ハブ

 最後は、肩ではなく腕に乗っているという「番外編」。原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏による『北斗の拳』には、人間離れした巨大な敵がいる一方、その巨漢男に乗る小柄な敵キャラも登場する。それが残忍な秘孔の実験研究を行うアミバの部下・ハブである。

 ハブはアミバの木人形狩り隊メンバーであり、力自慢のギュウキという大男の腕に乗る小男だ。アミバの秘孔術によりパワーアップしたギュウキは、一般人と腕相撲をし、残忍なやり方で相手の腕を切断してしまう。しかしそこにケンシロウが登場して腕相撲に挑み、ギュウキが敗れる。それに怒ったハブはアミバから授かった跳躍力を武器に、棒を使ってケンシロウに戦いを挑むのであった。

 ハブは肩乗りキャラのなかでは、珍しく実戦型のキャラクターだ。しかし、よほど自分の体に自信があるのか、登場時から喋りまくる。ケンシロウと戦う際、棒を地面に叩きつけながら「これぞ猴コウ拳!! またの名を猿拳! その流れをくむ野猿牙殺拳!!」と、自分への解説が止まらない。

 そんなうるさいハブは当然のごとくケンシロウによってやっつけられ、最後は慕っていたアミバからの刃物一撃で倒れるのであった。肩乗りキャラのなかでは、もっとも噛ませ犬的な存在といえるだろう。

 

 現実世界ではまずお目にかかれない「肩乗りキャラ」たち。その多くが今回紹介したようにちょっと卑屈な性格をしており、独特な攻撃で主人公たちを苦しめているのが特長だ。

 肩に乗る小物キャラの多くは憎たらしい印象があるが、彼らの存在が物語をより面白くし、ストーリーを盛り上げているのも事実だろう。

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