車田正美氏の『聖闘士星矢』は、ギリシア神話をモチーフに“聖闘士(セイント)”たちの活躍を描いた人気のバトル漫画だ。本作最大の魅力と言えば、やはり戦闘中繰り出されるド派手な必殺技の数々ではないだろうか。
そこで今回は、『聖闘士星矢』で描かれた“命がけの必殺技習得シーン”を厳選して3つ紹介したい。いずれのシーンも、本作を象徴するかのようなスリリングな展開にド派手な必殺技となっている。
■格上・白銀聖闘士に放った「ペガサス彗星拳&ペガサスローリングクラッシュ」
まず1つ目、主人公である天馬星座(ペガサス)の星矢の命がけの必殺技習得シーンを紹介する。
「白銀聖闘士編」にて、青銅聖闘士(ブロンズセイント)抹殺のために、聖域(サンクチュアリ)から刺客が送り込まれてきた。星矢の前にも白銀聖闘士(シルバーセイント)・蜥蜴星座(リザド)のミスティが、星矢の師である魔鈴とともに現れた。格上であるミスティには、星矢の必殺技「ペガサス流星拳」もまったく効かない。魔鈴の機転により死を偽装したことで一時は難を逃れたと思ったが、それもミスティに見透かされており、そのせいで魔鈴も抹殺の対象になってしまう。
この窮地に星矢が生み出した必殺技が「ペガサス彗星拳」だ。これまで分散して放っていた流星拳を一点の的に集中させて繰り出す大技である。この彗星拳でそれまでほぼ無傷だったミスティにダメージを負わせ、さらに勢いづいた星矢は背後からミスティを羽交い絞めにし、自らの命をも懸けた「ペガサスローリングクラッシュ」で海の底へダイブし勝利する。
「ペガサス彗星拳」と「ペガサスローリングクラッシュ」という2つの大技で、格上である白銀聖闘士に見事勝利していた。
■師が命を持って導いてくれた「オーロラエクスキューション」
白鳥星座(キグナス)の氷河の必殺技「オーロラエクスキューション」も命がけの習得だった。
「オーロラエクスキューション」は、もともとは氷河の師である黄金聖闘士・水瓶座(アクエリアス)のカミュの必殺技である。両手を組み頭上に掲げ打ち下ろして放つ、限りなく絶対零度に近づく冷気の拳だ。
「黄金聖闘士編(十二宮編)」にて、氷河は天秤宮で氷河を待ち構えていたカミュと激突する。しかし、氷河はカミュの「オーロラエクスキューション」で圧倒的な力の差を見せつけられ、「フリージングコフィン」で氷漬けの仮死状態になってしまう。
その後、仲間の助けにより復活した氷河は、宝瓶宮にて再度カミュと戦うことになる。そこでもやはり力の差は歴然で、再びカミュの「フリージングコフィン」で氷漬けになってしまう。しかし今度は小宇宙(コスモ)を高め自力で脱出、絶対零度の冷気を身につけたが、それでも決定的なダメージは与えられない。
「オーロラエクスキューション」で勝負を決めようとするカミュに対して、ここで氷河が繰り出そうとした技が「オーロラエクスキューション」である。凍死寸前の生と死の間において絶対零度を身につけ、師の姿を模倣し導かれるかのように「オーロラエクスキューション」を放った氷河は、カミュとの対決において見事相打ちにまで持ち込んだのだった。