少年バトル漫画の醍醐味として欠かせない戦闘シーン。ライバルとの対決、ラスボス級の敵とのバトルなど、目を離せない展開が多数存在し、読者としてもワクワクが止まらない。
中でも、修行後の戦いで強くなりすぎたためにあっさり勝負を決める展開は、キャラの成長を描くための王道の描写ともいえる。今回はそんな“一瞬で勝負を決めた”修行明けのバトルシーンについて紹介していこう。
■亀仙流で開花!『ドラゴンボール』悟空
まずは、鳥山明さんによる『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空。少年時代の悟空は戦闘力が一般人の2倍の「10」だったとされており、サイヤ人としてはまだまだ弱かった。それから亀仙人のもとで基礎トレーニングの日々を送り、8ヶ月後に開催される天下一武道会に向けた修行を開始した。
そしてついにやってきた天下一武道会の日、悟空の1回戦の対戦相手は彼の何倍もの巨体を持つ男だった。巨体の男は悟空があまりにも小さすぎるため、勝負にならないと思って舐めてかかる。しかし試合開始直後、悟空は相手の股下をくぐり抜けて背後に回り、「こっちこっち」と言いながら指先でツンツンしただけで相手を場外に落とす。
こんな風にあっさり勝利できたのも、亀仙人の厳しい修行を耐え抜き、戦闘力を超人離れしたレベルにまで引き上げることができたおかげだろう。そのとき学んだ亀仙流の「よく 動き よく 学び よく 遊び よく 食べて よく 休む」は悟空の身体に染み付いているようで、それを大人になってからも忠実に実行している姿には感心する。
■窮地で覚醒!『HUNTER×HUNTER』キルア
続いては、冨樫義博さんの漫画『HUNTER×HUNTER』からキルア=ゾルティックを紹介する。初登場からかなり強いキルアだったが、ウイングとビスケという2人の師匠に出会いさらなる急成長を遂げる。しかし、兄であるイルミの洗脳によって“確実に勝てない場面では逃げる”という思考を刷り込まれていたせいで、実力が思うように発揮できずにいた。
だが、「キメラ=アント編」でついに覚醒のときが訪れる。ゴンとパームのデートを尾行していたキルアはラモットに遭遇し戦うが、洗脳の呪縛が身体を硬直させ一方的にやられる展開になってしまう。しかし、ゴンを守りたいというキルアの気持ちがイルミの洗脳を上回り、自力で解くことに成功する。
ここからは立ち場が逆転し、ラモットの首を一瞬でもぎ取り、返り討ちにしてみせたのだ。この成長は、ゴンという大切な友達や仲間たちに出会い、キルアの心が大きく変化したからこそだろう。
それからのキメラ=アント戦では、複数の敵が相手でも冷静な判断で首を狙い瞬殺するなどの活躍を見せている。呪縛から解放されたキルアが段違いに強くなっているのが実感できるシーンだった。