■決着はさらなる戦いの始まり…『HUNTER×HUNTER』ヒソカVSクロロ

 冨樫義博氏が描く『HUNTER×HUNTER』(集英社)で第351話から始まった、ヒソカ=モロウVSクロロ=ルシルフルの一騎打ちは敵同士のバトルを語るうえで外せない一戦だろう。作中屈指の人気を誇る2人の対戦は、ファンの間でおおいに話題になった。

 以前から「クロロとサシで戦いたい」と願い、そのためにグリードアイランドでも暗躍したヒソカ。念願のバトルに昂りきった彼は、念能力「伸縮自在の愛(バンジーガム)」と「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」を駆使して勝負に挑む。

 一方、クロロは「盗賊の極意(スキルハンター)」で幻影旅団メンバーを筆頭にさまざまな念能力を“盗んで”おり、多彩な能力の組み合わせでヒソカを追い詰める。その戦い方があまりにも知的かつ複雑だったせいで、当時は読者の間で「何が起こっているのか?」と議論が巻き起こったりもした。

 この戦闘は緻密な作戦を練ったクロロの勝利で終わったが、2人の戦いは終わらなかった。クロロの力は旅団があってこそ、と学んだヒソカは、なんと幻影旅団メンバーを暗殺し、その力を削ぐ計画を実行する。

 負けてなお、クロロに執着するヒソカのバトルマニアっぷりがそら恐ろしい。はたしてヒソカとクロロ率いる幻影旅団の戦いは、どんな結末を迎えるのだろうか。

 

 名作ジャンプ漫画を盛り上げた「敵VS敵」のバトルを見てきた。いずれもファンの心に残る名勝負であり、予測不可能な展開の面白さを証明するかのような戦いといえる。

 ゴールではやっぱり主人公がラスボスを倒して終わってほしいものだが、その道中でぜひ見てみたい……そんな魅力が「敵VS敵」には詰まっている。

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