トトロは本当の名前じゃなかった…スタジオジブリ作品『となりのトトロ』に隠された驚きの“最初の設定”の画像
© 1988 Studio Ghibli

 スタジオジブリ作品の『となりのトトロ』は、不思議なキャラクターのトトロと、サツキとメイ、幼い姉妹の心温まる交流を描いた名作映画だ。公開から36年たった今もその人気は健在だが、意外と知られていない設定があるのをご存じだろうか。今回はそんな知られざる『となりのトトロ』の“最初の設定”をご紹介していこう。

■トトロは本当の名前じゃない? 設定資料では「ミミンズク」

「トトロ」と呼ばれ親しまれている『となりのトトロ』のメインキャラクター。大きくてふわふわの体と、愛らしい表情がチャーミングなトトロは、一番大きなものを「大トトロ」とし、そのあとは大きさによって「中トトロ」、「小トトロ」と呼ばれることが多い。

 しかし、「THE ART OF となりのトトロ」(徳間書店)で紹介されている初期のイメージボードでは、「大トトロ」は「ミミンズク」と名づけられているのだ。「中トトロ」は「ズク」、「小トトロ」は「ミン」とそれぞれ名前があったことも判明している。

 そして彼らの年齢についても記載があり、「ミミンズク」は1302歳で、「ズク」は679歳、「ミン」は109歳なのだそうだ。 

 本編を見ていると、トトロたちは森の精や神様のような存在だとは思っていたが、これほどまでに長生きをしているとは驚きだ。

 また彼らについて、「大トトロ」は「おおとうさん」、「中トトロ」は「とうさん」とも書かれているので、家族のような関係性なのかもしれない?

■草壁家が引っ越してきたのは療養用の別荘だった!?

 本作で印象的なのは、草壁家が越してきた赤い三角屋根の家だ。「お化け屋敷みたい」なんてはしゃぐサツキとメイの姿からもわかるように、とても雰囲気のある建物である。そんな草壁家の新居だが、もともとは結核患者を療養させるための別荘なのだという。

「ロマンアルバム となりのトトロ 」(徳間書店)に収録されている宮崎駿監督へのインタビューのなかで明かされた裏設定で、赤い屋根と白い壁が印象的な洋風の建物は、「結核患者の人のための離れ」だと話していた宮崎監督。庭や建物自体もまだ未完成で、家の完成を待たずして前の住人である病人は亡くなってしまったそうだ。

 作中に登場する草壁家のお母さんは、長期間病院に入院している。そんな彼女が退院してきたあとに、空気のいい場所で過ごせるようにと引っ越してきた草壁家。もともと療養用に建てられた家なのだから、離れは日当たり抜群でお母さんがゆったりと体を休めるにはもってこいの家だったというわけだ。

 そしてこの家を管理していたおばあちゃんが、田舎に住むお年寄りにしては物言いがハキハキとしていたのも、宮崎監督によると「あの家に女中奉公してた」からだという。本編に登場しない裏設定にもしっかりとした物語があるところもまた、宮崎監督の作品らしく、ファンとしてはこうした裏の物語を知れるのは嬉しい限りだ。

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