■『名探偵コナン』のトップスター・沖野ヨーコ
最後は、青山剛昌さんによる『名探偵コナン』(小学館)のスターを紹介していこう。ミステリー作品なのでスターキャラとは無縁に思えるかもしれないが、沖野ヨーコというトップアイドルが登場している。
ヨーコは作中でもたびたび登場し、コナンたちともしっかりと絡んでいた。ただし基本的には殺人事件には直接関わらず、テレビ局と小五郎たちを繋げる役を買っている場面が多い。
中でも重要な役割を果たしたといえるのが、黒の組織に潜伏しているCIAの水無怜奈とコナンたちを引き合わせたことだ。本人はまったく何も知らない状況ではあったが、偶然のその行動によりストーリーが大きく進展していった。
作中には他にも仮面ヤイバーというヒーローが登場し、少年探偵団をはじめとして多くの子どもたちを沸かせていた。「このキャラは何?」と思う人もいるかもしれないが、青山さんの別の作品を見ている人からすれば『YAIBA』が元ネタだとすぐに分かる。
怪盗キッドが『まじっく快斗』からきていることからも分かる通り、『名探偵コナン』には青山さんの著作の要素があちこち散りばめられている。しかし、沖野ヨーコは過去作とは一切関係なく完全なオリジナルだ。
しかもかなり初期から登場しているので、青山さんの意図が何かしらあるのかもしれない。ちなみに同じくミステリー作品の『金田一少年の事件簿』にも速水玲香というアイドルが存在する。しかし、こちらはガッツリ事件に関係しているので、立ち位置が違うといえるだろう。
子ども向けアニメ内に登場するスターキャラは、ときにメインキャラに絡むこともあるから面白い。そして、登場すればするほど設定や背景がしっかりと固まり、サブキャラでありながら存在感を放つようになるのだろう。