梅雨の時期は、洗濯物が乾かなかったり、出かけるのが面倒になったり、憂鬱になってしまう人も多いだろう。そもそも雨に濡れるのを喜ぶ人などめったに存在しないはずだ。そして、バトル漫画のキャラにもそんな雨や水に濡れることを極端に嫌うキャラがいる。
能力が水との相性が悪かったり、身体的に水を受け付けられないなど理由はさまざま。しかも能力自体は最強レベルなパターンが多いので、「そんなのが弱点なの?」と驚いてしまう。ギャップがあって面白いともいえるが……。
今回はそんな濡れてしまうと能力がうまく発揮できないキャラを紹介していきたい。
■『鋼の錬金術師』ロイ・マスタング
荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)には数多くの錬金術師が登場し、それぞれが特異な能力を持っている。中でも大規模な破壊力を持つのが、ロイ・マスタングの錬金術だろう。
彼は「焔の錬金術師」という名から分かるように、炎を自在に操る。攻撃範囲の調節ができるところも非常に便利だ。大規模な攻撃を放つのはもちろん、仲間を巻き込まないよう敵をピンポイントで狙うこともできる。そんなマスタングの錬金術には、きっと多くの読者が憧れただろう。
しかし、唯一の弱点が「水」だ。マスタングが錬金術を発動するには、錬成陣の描かれた特注の手袋を指先でこすり合わせ「点火」する必要がある。その手袋が濡れてしまうと、炎を繰り出せなくなってしまう。湿気たマッチと同じというわけだ。
そのため、雨の中での戦闘は不向きとなり、部下のリザ・ホークアイからも「雨の日は無能なんですから下がっててください」と嫌味を言われてしまうほどだ。だったら手袋が破れたり使えなくなったりしたらどうなるの?と思うかもしれないが、それはホムンクルスの一員・ラストとの対決で解決している。
このときマスタングは手の甲に錬成陣を描き、手に持ったライターを使用して錬金術を完成させたのだ。これはこれでカッコいい……。この描写からも、マスタングの錬金術は炎を生み出すというよりは、周囲の酸素濃度を調節していると分かる。
彼の能力は濡れると使えず、着火するための道具も必要という制限があるので、意外と弱点も多い。ただ、そんな弱点があるからこそ、強さとのバランスが取れているのかもしれない。
■『暗殺教室』殺せんせー
次は松井優征氏による『暗殺教室』(集英社)に登場する殺せんせーだ。殺せんせーは人体実験をされた最強の殺し屋で、人間離れした能力を持っている。普通のナイフや拳銃では殺せない肉体、最大マッハ20での移動が可能というトンデモ生物だ。
そんな殺せんせーには意外と数多くの弱点(テンパるのが意外と早い、色仕掛けが結構効くなど)があり、中でも致命的なものが水に濡れること。身体が水を含んでしまうと吸収して膨らみ、それによって身動きが取りづらくなってしまうようだ。
しかし、殺せんせーはそんな弱点をみずから生徒たちに明かしていた。弱点も知った上で殺してみろという、彼なりの激励なのだろう。だからこそ、殺せんせーを追い詰めるための作戦には何度も大量の水が使用されていた。
それでも生徒たちは殺せんせーを殺すのに何度も失敗しているので、彼の用意周到さや弱点をカバーできる実力がうかがえる。さすが最強の殺し屋である……。
殺せんせーにはトンデモ生物のわりに弱点が多いから倒せそうにも思えるが、もし『ジョジョ』のカーズのような究極生命体だったとしたら、それこそ絶望しかない。