■ラブレターでいきなりフラれる!? 『イタズラなKiss』

 思えばスマホがなかった時代は、相手に駆け寄って“好きです! 付き合ってください!”と言って手紙を渡すようなシーンも多かったように思う。それが描かれているのが『別冊マーガレット』(集英社)で1990年に連載が始まった、多田かおるさんの『イタズラなKiss』である。

 主人公の女子高生・相原琴子は高校3年間ずっとクールな入江直樹に恋をしていた。ある日、思い切ってラブレターを直樹に渡した琴子。しかし、渡した瞬間「いらない」と突き返され、物語はスタートする。

 夜に何度も誤字脱字をチェックし徹夜で書いたラブレターなのに、「いらない」の一言で撃沈してしまう琴子。しかしここからどれだけフラれても元気に立ち回る琴子と、元祖ツンデレ男の直樹との恋愛が徐々に始まっていくのである。

『イタズラなKiss』は、原作の多田かおるさんの急逝により、連載が未完となっている。しかし実写ドラマや映画化され、アジア各国でもリメイクされるなど、世界中で愛されている作品だ。フラれたラブレターから始まる純粋な恋愛ストーリーは、時代や国境を超えて多くの読者の心を掴んでいる。

 

 今ではすっかり見ることがなくなったラブレターだが、昔は自分の想いを伝える方法としてよく使われていた。中学時代、誰かが誰かに渡したラブレターが教室に落ちていて、クラス中がざわめいた思い出もある。

 ラブレターは“恋する男女のもの”というイメージもあるが、実は大切な家族や友人に送る手紙もある意味ラブレターと言えるだろう。ぜひ「ラブレターの日」をきっかけに、久しぶりに大切な人へ手紙を書いてみてはいかがだろうか。

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