声優という仕事の面白さ

――先ほど、「ラッキー」という言葉がありましたが、きっとどこかのタイミングでお仕事に対して自覚的になる瞬間もあったのではないかと思います。ご自身でお仕事のどんなところに面白さを感じていますか。

内山「やはり人や作品、そういったものとの出会いが大きかったですよね。自分は子どものときからお仕事をしていたので、声のお仕事でも、最初は年相応の等身大のキャラクターを担当することが多かったんです。自分と変わらない年齢のキャラクターに対して、自分が表現できるものを探していくということがたくさんありました。

 でも、だんだん自分も大人になって、演じるキャラクターと年齢が離れていくようになった。そうなると、いまの自分のままの感覚ではそぐわなくなります。30代になった自分が、小比類巻のような高校生のキャラクターを演じる時は、そのままではやれない。

 そこで自分の高校時代を思い出したり、いまの高校生ってこういう喋り方をしたほうがリアルなのかなと周囲を観察したり、どう表現したらそれっぽく聞こえるかなと考えたり……。そういう自分と距離があるキャラクターを担当することで、仕事の取り組み方が変わったと思います」

――声優として20年近くのキャリアを積まれていて、ご自身のアプローチの変化や成長を感じるところはありますか。

内山「基本的には自分自身の成長や変化というより、作品単位で考えているんです。この作品だったらこうしたら良いだろうなとか、このクリエイターの作品ならば、こういう表現が求められるだろうとか。

 でも、自分自身の成長とか目標というものはちょっとわからなくて……。今は目の前のことをやるしかないなという気持ちで日々仕事に臨んでいます。自分の趣味的にも面白いと感じる作品がヒットに結びつけばありがたいと思いますが、それはどうしても世の中の流行に左右されるところもあるので、自分の力ではどうしようもない。だから、ひとつひとつを丁寧に続けていくしかないのかなと思っています」

インタビュー第4回は5月25日(土)公開予定!

内山昂輝(うちやま・こうき)/8月16日生まれ、劇団ひまわり所属。声優としての代表作にゲーム『キングダム ハーツ』シリーズ(ロクサス、ヴェントゥス)、『機動戦士ガンダムUC』(バナージ・リンクス)、『ピンポン THE ANIMATION』(スマイル/月本誠)、『ハイキュー!!』(月島蛍)、『呪術廻戦』(狗巻棘)などがある。

■作品情報
映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』
2024年5月24日(金)より全国公開/前章公開中
原作:浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』刊
監督:黒川智之
シリーズ構成・脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督:伊東伸高
〈声の出演〉
幾田りら、あの、種﨑敦美、島袋美由利、大木咲絵子、和氣あず未、白石涼子、入野自由、内山昂輝、坂泰斗、諏訪部順一津田健次郎 / 竹中直人
美術監督:西村美香
音楽:梅林太郎
アニメーション制作:Production +h.

[c]浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee
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