■実は争いは好きじゃない…? あっさり武器を捨てるザコたち
コミックス15巻、ケンシロウとラオウの最終決戦へと続く「宿命の岐路の巻」に登場するザコたちは、これまでのザコ像を一新するような変貌ぶりだ。
愛を知らない自分は、ケンシロウとの戦いに負けてしまうと悟ったラオウ。そこでラオウはユリアの命をもらうべく、手にかけてしまう。
それ以降、それまでラオウに仕えていた部下たちは持っていた武器を次々と燃やしていく。リハクの解説によると「愛する者を涙してまでその手にかけた… ラオウ… それを見てみな戦いの無残さを知ったのだ…そして愛の強さを!」とのこと。その通り武器を捨てたザコたちは家族と抱き合い、戦いよりも肉親への愛を大切にしている様子がうかがえる。
武器を捨てたザコたちは、その外見の変貌ぶりもスゴい。ラオウに仕えるザコといえばモヒカンヘアで目はバキバキなのが特徴だが、ここで登場するザコたちは髪型も普通のサラサラヘアに落ち着き、慈愛に満ちた顔つきになっている。(もっとも、ユリアに手をかけてはいけないとラオウに進言していた勇気ある部下たちは、最初からまともな見た目をしている者もいたが……)
とにもかくにも、最終的にものすごい変貌を遂げたザコたち。武器を持って振り回していたのはウソの外見で、本当は慈愛に満ちた真面目なキャラが多かったのかもしれない。
『北斗の拳』のザコといえば「ひでぶっ!!」や「汚物は消毒だ」といった、“いかにも”なセリフが多い。しかし、なかには今回紹介したような勤勉型のザコもおり、ケンシロウとの戦いにも独自のスタイルで挑むザコもいたのだ。
ザコは概ね“噛ませ犬”的な存在ではあるが、それぞれのキャラクターの特徴をあらためて見返すと、ストーリーをさらに楽しむことができるだろう。