『週刊少年サンデー』(小学館)にて1988年より連載されていた、青山剛昌さんによる漫画『YAIBA』が再びアニメ化されることが5月8日に発表され、アニメ化決定ビジュアルと特報映像がお披露目となった。
『YAIBA』は1993年に『剣勇伝説YAIBA』のタイトルでテレビアニメ化された作品で、再アニメ化はおよそ30年ぶり。今回の新作は青山さんがシナリオを完全監修することも発表されており、「完全アニメ化」に期待の声が上がっている。
近年では人気漫画作品が再アニメ化される流れが相次いでおり、その傾向は『サンデー』作品でも多く見られる。例えば、高橋留美子さんの『うる星やつら』は1981年から4年半もの間テレビ放映されているが、2022年10月よりフジテレビ系『ノイタミナ』枠で分割2期で再アニメ化。2024年5月現在も絶賛放映中だ。
さらに過去を遡れば、手塚治虫さんの『どろろ』は1969年のテレビアニメ化から50年を経て、2019年に再アニメ化され人気作となった。
そこで今回は、過去に一度アニメ化されているものの、「再アニメ化」することで人気が再燃しそうな『サンデー』作品をいくつか振り返りたい。
■ミニスカ!ボディコン!ハイヒール!美貌のGSはワガママ守銭奴…『GS美神 極楽大作戦!!』
まずは、今回の『YAIBA』の発表を受け、Xでも再アニメ化希望の声が多く上がった椎名高志さんの『GS美神 極楽大作戦!!』。
同作は、1991年から1999年にかけて『サンデー』で連載された人気作で、悪霊や妖怪を退治するGS(ゴーストスイーパー)を生業とする除霊師・美神令子を主人公としたドタバタアクション。テレビアニメは1993年4月より1年間、テレビ朝日系にて“極楽大作戦!!”を外したタイトル『GS美神』で放送されている。
本作の一番の魅力と言えば、美貌のGS・美神令子であるのは間違いない。彼女は1980年代に流行したボディコンにハイヒールの出で立ちで悪霊たちを退治するため、そのミニスカ姿にドキドキした少年たちも多いだろう。
また、脇を固めるキャラクターも個性的で、超薄給でこき使われる横島忠夫をはじめ、幽霊のおキヌ、強力な武器を装備したロボットのマリア、泣き虫なお嬢様の六道冥子に高飛車な小笠原エミ、そして筆者イチオシのイケメン・ピートらが登場した。
スケベで臆病な横島に対する美神のさんざんな扱いなども楽しめたが、登場人物たちそれぞれの“キャラ立ち”とも呼べるエピソードがふんだんに盛り込まれているため、今の言葉で言う「推し」が作りやすい作品でもあるだろう。
テレビアニメは美神役の鶴ひろみさんらの好演なども相まってか、平均視聴率13.7%(最高視聴率18%)を記録。しかし、コミックス全39巻中わずか9巻程度しか物語を消化できずに終わっている。原作コミックス内には、またテレビアニメになるのではと期待するおキヌに対し、横島が「それはない…!!」「ないんだよ、おキヌちゃん…!!」と、血の涙を流しながら否定するという、ファンとしては少しだけ物悲しい一コマも描かれている。
見た目がバブル時代ど真ん中な美神であるが、30年を経て再アニメ化されるとすれば、そのパワーと魅力でファンをとりこにするかもしれない。
■当時の少年心をくすぐりまくり? 王道バトル漫画!…『烈火の炎』
1995年から2002年にかけて連載された安西信行さんの『烈火の炎』も、再アニメ化を期待される作品のひとつではないだろうか。同作は炎を生み出す力を持った少年・花菱烈火が、治癒能力を持つ少女・佐古下柳との出会いを機に、戦いの渦へと身を投じることとなる物語だ。
軽快なコメディパートやほのぼのとした日常風景とは対照的に、当時はまだ規制が緩かったこともあって、戦闘シーンでは過激な描写がふんだんに盛り込まれているのが特徴。火影忍軍などの忍者が登場したり、風神などの魔道具や炎の型と呼ばれる技が披露されたりと、当時の少年読者層を刺激した要素は現代でも十分人気を集めそうだ。
1997年より1年間、テレビアニメが放送されるも、当時はまだ原作漫画が連載中だったため、コミックス全33巻のおよそ折り返しとなる「裏武闘殺陣編」までのアニメ化となった。そのため、決勝戦の麗(紅)戦のアレンジなど中盤からのアニメオリジナル要素も強かった。
基本セル画での制作だったが、一部のシーンではデジタル彩色を採用するなど挑戦的なアニメでもあった。アニメのデジタル制作が主流となった昨今、美麗な映像で動く『烈火の炎』を最終回まで堪能したいと願うファンも多いはずだ。