■5歳じゃなくてもつらすぎる別れ…『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』
最後は『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』でのシーンを紹介しよう。
自宅の庭に埋まっていた謎の手紙を読んでいると、突如戦国時代にタイムスリップしてしまったしんのすけ。映画の撮影だと勘違いして合戦に紛れ込んでしまったことで武将・井尻又兵衛由俊と出会い、春日城の廉姫の助力も得て現代へ戻る方法をともに模索することになるのである。
現代に戻れぬまま大蔵井家との大戦がはじまるも、野原一家の活躍もあってついに大将・高虎を討ち取り、戦は終結。
又兵衛の馬で一緒に帰路につくしんのすけだったが、突如響き渡った銃声のあと、又兵衛が何者かの凶弾によって倒れてしまうのだ。又兵衛はしんのすけが過去にやってきた意味と、自身の役割を全うする日々をくれたことへの感謝を伝え、父の形見である脇差をしんのすけに託し、命を落としてしまう。
過去に来てからともに生活をし、男同士の誓いを立てるまで絆を深めたしんのすけと又兵衛。厳しい戦国の世で訪れた突然の別れに、しんのすけは大粒の涙を流すのだった。
『クレヨンしんちゃん』ではほとんど見られない死別の描写に驚くとともに、あまりの悲しさからしんのすけ同様、誰もが涙してしまう有名なシーンである。
こうした悲しい描写があっても本作が今もなお世代問わず愛されているのは、登場するキャラクターたちが織り成す、さまざまな形の「絆」の様子の美しさにあるのではないだろうか。
いつもはふざけてばかりのしんのすけが見せる涙には老若男女さまざまな感情を抱き、観ている側もつい涙してしまう。子どものころに観たあの作品やあのシーンも、大人になってあらためて観てみるとまた違った捉え方で楽しむことができる。
来たる8月9日には、劇場版31作目となる『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』の公開も予定されている。どんなドラマが待っているのか、今から楽しみだ。