■俳優本人が豪語! まるでいいことなんてない特殊スーツ…『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』藤原竜也

 1994年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された、和月伸宏さんの『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚-』は、明治に生きる伝説の人斬り・緋村剣心がさまざまな剣客たちと刃を交えていくバトル漫画だ。

 2012年に公開された実写版映画は、主演の佐藤健さんをはじめとした豪華なキャストはもちろん、再現度の高さや観る者を圧倒する殺陣シーンの数々によって瞬く間に人気を集め、のちに『京都大火編』、『伝説の最期編』など、計5作が公開されている。

 なかでも『京都大火編』以降に登場する剣心の宿敵・志々雄真実を演じた藤原竜也さんは、志々雄を再現したある“衣装”の特殊性に思いもよらぬ苦労を強いられることとなった。

 志々雄といえば体中に大やけどを負った結果、全身を包帯でぐるぐる巻きにしたミイラのような姿が最大の特徴だが、実写版でもこのインパクト大な姿を完全再現。その驚くべき再現方法なのだが、なんと彼を演じる藤原さんの全身の“型”を取り、肉体にフィットする“全身スーツ”を作り上げてしまったというのだ。

 このスーツ、着脱だけで1時間以上の時間がかかる点もさることながら、耳も聞こえづらい上に飲食もできず、はてはトイレまで行けないことから、さすがの藤原さんも閉口していたようだ。

 当時のインタビューにて本人も「いいことなんて何にもないんです!」と豪語していたこの志々雄スーツだが、一方で身に纏うだけで自然と精神的なスイッチが入り、ある意味で志々雄になり切る良いきっかけにもなっていたという。

 演技力はもちろん、あまりにも過酷な環境で役柄を演じ切った藤原さんの胆力にも脱帽してしまうエピソードだ。

 

 “衣装”は原作のキャラクターを再現する上では外すことのできない重要な要素だが、一方で思いもよらぬデメリットも多く、予想外の苦労を強いられた俳優も多い。

 独特の衣装を見事に着こなし、彼らが再現したキャラクターたちの雄姿を、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

  1. 1
  2. 2
  3. 3