■『文豪ストレイドッグス』与謝野晶子
原作:朝霧カフカ氏、作画:春河35氏による『文豪ストレイドッグス』(KADOKAWA)にも女性の回復キャラがいる。それが、武装探偵社の専属医である与謝野晶子だ。
晶子の能力「君死給勿」は少し変わっていて、瀕死の状態でないと回復させることができない。つまり軽傷だと治すことができないので、まずは瀕死になってもらわないといけないということだ。そのため、探偵社員からも恐れられる存在にもなっている。
晶子の「……おやァ? 怪我してるねェ。治してやろうか?」というセリフも、瀕死にしてから治そうとする言葉の裏返しでもあるように見えて怖い。軽傷なら時間を掛けて治すことも考えられるが、次の戦いに備えると悠長に待っている時間はない。つまり選択肢はないということだ。ある意味悲惨だ……。
■『HUNTER×HUNTER』ビスケット=クルーガー
最後は冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』(集英社)に登場するビスケことビスケット=クルーガーだ。ビスケは見た目は少女だが、実は57歳。筋肉ムキムキの巨体である本性を、自身の能力で隠して生活しているという異色のキャラである。
彼女の念能力は「魔法美容師」と呼ばれるもので、念人形のクッキィちゃんを使用して様々なマッサージを行うことにより、美容・健康・疲労回復などの効果を与える。戦闘には役に立たない能力だが、現実ではかなり役立ちそうな能力ばかりだ。能力のひとつである「桃色吐息」は、30分で8時間睡眠と同等の疲労回復効果を得られる。同作では、現実世界で実際に使ってみたくなるような能力やアイテムが数多く登場するが、ビスケの念能力もその代表格ではないだろうか。
ビスケはそもそもの身体能力が優れているため、能力に頼って後方で支援するという戦闘スタイルではない。自ら率先して敵を撃破するだけの力があるのだ。鍛え抜かれた肉体や相手の攻撃を見切る力は、年齢を重ねているだけある、と納得してしまう。
最初に紹介した綱手もビスケと同じ類ではあるので、見た目を若く見せてしまうのも回復系の女性キャラの特徴なのかもしれない……。
仲間を支えるために、回復を目的とした女性看護キャラはたくさんいる。だが、回復をするからといって、優しい性格というわけではなく、むしろ男勝りなキャラが多いというのも趣深い。