■『北斗の拳』ラオウ
原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏による『北斗の拳』にも命がけの師弟対決がある。それが、リュウケンとラオウとの直接対決だ。ラオウはリュウケンの養子で、北斗4兄弟の長兄として北斗神拳にすべてを捧げてきた。
北斗神拳は一子相伝を掟としており、伝承者が決まった場合それ以外の者は拳を封じなければならない。しかしラオウはその掟を平然と破り、「おれはだれの命令も受けぬ!! たとえ神の命令でもな!!」と主張してその拳で覇権を握ろうとする。
リュウケンはそんなラオウを止めるべく、彼に自らの拳を振るうことになった。その際にはラオウすら習得していない奥義「七星点心」を披露。ラオウは何もできずに攻撃を食らい続けた。
しかしとどめを刺そうとした瞬間、リュウケンは病の発作のせいで動きが止まってしまい、ラオウが逆襲。最終的にリュウケンは命を落としてしまう。こうして親子関係と師弟関係を終わらせる結果になったが、そこに怨恨のような感情は存在しないように思われる。
北斗神拳のような一子相伝の暗殺拳を伝承する際、師弟が命のやりとりをするのはそれほど不思議なことではない。サウザーも南斗鳳凰拳を受け継ぐ際には、師匠のオウガイを殺している。たとえ師弟といえど、時にはお互い命を奪われる覚悟を持つ必要があるということなのだろう……。
師匠を裏切る弟子には共通して、大きな野望がある。そのため、師匠のこともそのための踏み台くらいにしか思っていないのだろう。弟子をとるときにも人を見る目が問われるのかもしれない……。