■お母さんぼくは銀河鉄道へ乗るよ…!『銀河鉄道999』
松本零士さんの『銀河鉄道999』は、主人公の少年・星野鉄郎が謎の美女メーテルとともに、さまざまな惑星を旅していく物語だ。本作は連載が始まる初回で、鉄郎と母との悲しい別れが描かれている。
美しい鉄郎の母親は、機械伯爵の人間狩りによって殺されてしまい、その体は剥製にされてしまう。死の間際、母親は鉄郎に対し“銀河特急999号に乗れば機械の体がタダでもらえる惑星に着く。その列車に乗りお父さんやお母さんの分まで長生きして”という言葉を残し亡くなってしまうのだ。
その後、鉄郎はメーテルと出会い、銀河鉄道999のパスをもらう。旅立つ前に鉄郎はメーテルから銃をもらい、機械伯爵の館へ向かって彼らを壊滅させた。そして剥製として飾られている母の亡骸を前に「お母さん……見てくれ、パスだよ!! ぼくは銀河鉄道に乗るよ!」と涙ながらに宣言し、館もろとも燃やすのだ。
母が殺されてしまったことが原因で、鉄郎はいつか自分が機械の体を手にし、地球にいる機械人間を壊滅させる目標を持つ。しかし銀河鉄道への旅がはじまると、彼は多くの人々と出会いさまざまな経験を積むなかで、機械の体が本当に必要なのかという疑問に直面していく。
鉄郎と母との別れは壮絶で悲しすぎるシーンだったが、鉄郎が辿り着く先には、彼自身の成長と新たな未来が待っているのだ。
今回紹介した少年と母との別れのシーンは、すべて少年の母親が亡くなってしまう悲しい別れ方だった。しかし壮絶な別れを経験した少年たちが、その後大きく成長していく姿には目を見張るものがある。
現実世界では今回紹介したような悲しい別れはしたくないものの、息子が母親から巣立つことは重要だ。母との別れは痛みを伴うが、それは新たな成長と絆の始まりでもある。そして、その絆は時間や距離を超え、永遠に続いていくのだろう。