『北斗の拳』ラオウの統率力に疑問を抱く? ウサにアビダ、ヒルカも…拳王配下の困った指揮官たちの画像
ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』10巻(徳間書店)

北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)では、世紀末覇者のラオウが凄まじいほどの恐怖で天下を牛耳ろうとしていた。しかし、トップに君臨しているラオウが怖すぎたのか、なかにはどうしようもないほど困った拳王配下の指揮官たちもいたものだ。外伝は別として、リュウガのように強いものもいれば、ラオウの統率力に疑問を抱いてしまうキャラもいる。

 そこで、外伝を除くオリジナルの原作で、その采配を拳王が見誤ったのではないかと思ってしまうような指揮官を振り返ってみよう。

■存在すら気持ち悪い…よくラオウが近くに置いたとものだと考えさせられる「ウサ」

 まずは幹部クラスのウサだ。コイツは見た目がすでに気持ち悪い。人を見た目で判断してはいけないのだが、すでに悪役であることは間違いない顔つきをしている。しかもずっと微妙ににやついている顔もカオスだ。

 ユリアをさらってきたあと、ラオウはベッドで深い眠りについていた。寝ているとき、ユリアに傷の手当をしてもらったことにも気づかなかったほどだ。

 あれほどの達人レベルだと、眠っていても人が近くにいたら気配で気づきそうなものだ。恐らくラオウはケンシロウによる奥義「無想転生」によって、精神的にも深刻なダメージを負ってしまったのだろう。

 うなされて目覚めたラオウは包帯を巻いている自分の姿に気づき、横にいたウサに「これはうぬが?」と問いかける。“うぬ”と言うくらいなら“ウサ”と呼べばいいのに……。しかし、コイツは薄ら笑いでユリアが手当したことを嬉しそうに語ってしまうのだ。さらに「拳王様 チャンスじゃないですか」などと言い、挙げ句の果てには「このウサもあやかりたいもんですな」と、拳王に冗談を飛ばしてしまっている。

 もちろんラオウはブチ切れ、「うぬら下衆にはわからぬ!!」と、気合で包帯を引きちぎるほどの怒りをあらわにする。ウサも「わ…わたしがなにか悪いことでも…」と弁解の余地なく、「もぽえ〜!!」の断末魔とともにあえなく瞬殺された。

 ラオウからしたら、心惹かれた女からの情けは男にとって最大の屈辱ということらしい。あまりに不憫だったが、まあ、ユリアもかばうようなシーンもなかったので、ウサのことが気持ち悪かったのかもしれない。なんでこんなヤツを側近にしたのだろう。外伝では策士であるのだが、原作においては“拳王七不思議”の一つみたいだ。

■人間ハンマー投げ? もはや発想すら拳王に怒られそうな「アビダ」

 次は、村人に鎖を付けてぶん回し、“人間ハンマー投げ”に興じて記録を競っていたアビダだ。ほとんど記憶に残っていない読者も多いだろうが、コイツは部下のゴンズに新記録を出され、自分も挑戦してやろうと躍起になってしまう。

 ゴンズはツインテールで額にクロスのマークを入れており、あまりに奇抜なファッションセンスをしている。まあそこには目をつむっても、きちんとハンマー投げのラインを引いているあたりルールには忠実らしい。核戦争前はもしかしたら競技者だったのかもしれないな。

 ここで突如現れたケンシロウは、「おまえが飛ぶんだ」のセリフとともにゴンズを蹴飛ばした。ボールのように飛んでいったゴンズははるか遠くに落ち、見事に新記録樹立。さすがは北斗神拳伝承者である。破られることのない記録達成だろう。

 次はアビダか……と思ったら、ここで登場したリュウガの「泰山天狼拳」によって瞬殺されてしまった。いや、拳王軍ならリュウガの実力くらい知っておけよと言ってやりたいくらいだ。

 それにしても“人間ハンマー投げ”なんて、ラオウに見つかったら絶対キレられるだろう。ケンシロウ以上の記録を出すくらいぶっ飛ばされるだろうな。って、そんな部下を選んだのもラオウなのだが……。

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