■「バスガスバクハッ」「ゴトオオサァン」…『進撃の巨人』の擬音はもはやダジャレ?

 巨人による絶望がまん延する世界観が人気の『進撃の巨人』(諫山創氏)だが、擬音はユニークどころか「諌山氏が遊んでいるのでは?」と、ツッコミたくなるほど独特だ。

 印象的なのは、第113話でリヴァイがジークを切り刻むシーンだ。調査兵団の部下たちの命を踏みにじったジークをリヴァイが冷徹にいたぶる苛烈な展開なのだが、その擬音が「バス ガス バクハッ」……。

 少なくとも人を切り刻んでいるときに鳴る音ではないのは確かだ。筆者は気づいたとき「なぜ?」と声に出してしまった。

 本作での独創的すぎる擬音はこれだけではない。アルミンがエレンを殴ると「ゴトオオサァン(後藤さん?)」という人名のような打撲音が響くし、人が走り出すと頻繁に「ダッシュ」という、“そのまんま”なオノマトペが出てくる。

 こういったオノマトペ擬音は『進撃の巨人』ファンの間では有名で、本編のシリアス展開に傷ついた心がこれによって少し癒された……なんて人もいるほどだ。

 アニメ派の人は、ぜひ原作漫画を読んでこれらのオノマトペを見てみてほしい。「なぜシリアスなこの場面でこんなオノマトペを!?」と、驚くこと間違いなしだ。

 

 音は通常「耳で聞く」ものだが、漫画のオノマトペは「目で聞く」ものだ。だからこそ現実ではありえない音も出せるし、文字の描き方にもその漫画の個性が出る。

 これから漫画を読むときは、絵やストーリーだけでなく擬音にも注目してみてはいかがだろうか。

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