古今東西、さまざまな“ダイエット法”があるなか、漫画やアニメのキャラクターたちも作中で独自の“ダイエット法”を披露している。過酷だが、一方でどこか理に適っている漫画・アニメ作品の“ダイエット”について見ていこう。
■愛と妄想の力で万事解決?…『斉木楠雄のΨ難』夢原知予
2012年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された麻生周一氏の『斉木楠雄のΨ難』は、超能力を隠しながら生きる高校生・斉木楠雄を主人公に、彼を取り巻く型破りな日常生活を描いていくSFギャグ作品だ。
斉木をはじめ、数々の個性的なキャラクターが登場する本作において、“ダイエット”のエピソードを披露したのが楠雄のクラスメイトの一人・夢原知予である。
オカルト部に所属する夢原は、明るく裏表のない性格から友人も多い好人物。しかし、一方で少し行き過ぎたロマンチストな面を持ち、なにかにつけて“妄想”に浸ることも多い。
美少女キャラクターではあるものの、作中ではなにかと災難に見舞われる場面も多く、「暴走妄想エクサΨズ」なるエピソードではお菓子の食べすぎで檄太りしてしまった。
周囲からもいじられ“ダイエット”に取り組む夢原だったが、意志が弱く、合間合間に間食をとってしまうため一向に痩せる気配がない。
そんな彼女を陰ながら超能力でサポートしようとした斉木は、彼女が同級生の海藤に好意を抱いていることを利用し、海藤の声を彼女の脳に“テレパシー”で送り、奮起させた。
すると、夢原は持ち前の“妄想癖”を加速させ、海藤に徹底監視されている世界を脳内に作り上げてしまう。海藤に強くなじられながら一心不乱に腹筋を繰り返す夢原の姿に、さすがの斉木も唖然とするよりほかなかった。
結果的に見事ダイエットに成功した夢原。しかし、妄想に浸りすぎたせいで現実世界の海藤相手にまで絶対服従の姿勢を見せるようになってしまっていた……。
恋心を暴走させ常軌を逸したダイエットに成功してしまった、夢見がちにも程があるエピソードである。
■浜名湖一周で鍛えたスタミナは今もなお健在…『ゆるキャン△』各務原なでしこ
2015年より『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)にて連載が開始したあfろ氏の『ゆるキャン△』は、キャンプを通じて繰り広げられる女子高生たちのゆるい日常を描いた漫画作品だ。
ほのぼのとした和やかなムードだけでなく、しっかりとしたキャンプのノウハウが随所で紹介されるのも大きな特徴で、本作をきっかけにアウトドア趣味に目覚めた読者も多いのではないだろうか。
そんな本作において驚異的なダイエットエピソードを持つキャラクターといえば、「野外活動サークル」(野クル)の主要メンバーとして活躍する各務原なでしこだ。
天真爛漫な性格とその表情豊かな立ち振る舞いはまさに本作の“顔”とも呼べる存在で、メインキャラクターの一人・志摩リンと接するなかでキャンプの魅力にのめり込んでいく。
また、食べることが好きななでしこは、作中で料理をするシーンもよく登場する。彼女が作り上げる“キャンプ飯”は、本作の見どころの一つともいえるだろう。
そんな彼女だが、実は中学校3年生まではかなりぽっちゃりとした体型で、このころからすでに“食べる”ことが好きだったことがうかがえる。
悠々自適に食を楽しんでいたものの、ある日、見かねた姉・桜に「いい加減食うのをやめろブタ野郎!!」と激怒され、なんと夏休み中は毎日、「自転車で浜名湖を一周する」というハードなダイエットを強いられることとなってしまう。コースにもよるが、浜名湖の外周は約50〜85km。いかに過酷なダイエットメニューだったかが良く分かる。
これによって現在のスマートな体型を取り戻したのみならず、自転車をこいで培った“持久力”がキャンプはもちろん、アルバイトといった場面でも活かされている。
タイトル通り独特の緩さが特徴だが、一方でその過酷極まりないダイエットメニューに驚かされてしまうキャラクターだ。