■映画と漫画で全然違う『風の谷のナウシカ』クシャナ

『風の谷のナウシカ』に登場するクシャナはトルメキアの司令官で、主人公・ナウシカが住んでいる「風の谷」の侵略を目論んでいた。腐海を焼き払うために巨神兵を復活させようとしたり、ナウシカを人質にとるなど、やはり敵キャラとして描かれている。

 そんなクシャナだが、実は原作漫画版ではナウシカと並ぶもう一人の主人公として活躍している。映画では非情だったり情けなかったりする部分が強調されていたクシャナだが、原作ではかなりの実力者である。

 原作のクシャナはユパ同様剣術に優れ、部下からの人望も厚い。冷静沈着な判断で騎兵団の指揮をし、考え方の違うナウシカの意見も理があると思ったら素直に取り入れる。総じて優れた判断力と頭の良さが見受けられ、トルメキア中興に大きな影響をもたらすこととなった。

 カリスマ性、頭脳、強さの全てを備えていて、かつ悲劇的な身の上で、人間臭さもあるといったキャラクターになっていて、原作読者からの人気は高い。

 

 今回は、主人公のライバルやラスボスとしての立ち位置に近い3人。しかし見方によっては、ひとりの人間としても魅力的な面があり、単なる悪役として片付けるにはもったいない。

 クシャナについては原作と映画の差であるが、時が経つごとに感想が変わるジブリ映画は何度見ても面白い。

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