アムロ・レイが乗る型式番号RX-78-2ガンダムは、白色を基調としたモビルスーツで、その見た目と性能から“連邦の白い悪魔”と呼ばれ恐れられた。しかし、ガンダムシリーズにおいて白色を基調とするモビルスーツはガンダムだけとは限らない。
そこで今回は敵側のエース級が搭乗する「白いモビルスーツ」たちに注目する。RX-78-2ガンダムに負けず劣らず、白くてカッコいいモビルスーツたちの活躍を見ていこう。
■“ソロモンの白狼”と恐れられたシン・マツナガ専用高機動型ザクII
1機目は、シン・マツナガが乗るMS-06R-1A高機動型ザクIIだ。
搭乗者であるシン・マツナガは、ジオン公国軍宇宙攻撃軍のエース・パイロットで、階級は大尉。見た目こそ髭面で貫禄十分のおっさんだが、実際は24歳と意外に若い。非常に優秀で、一年戦争時はドズル・ザビの懐刀として活躍していた。
シン・マツナガはその活躍から“ソロモンの白狼”の異名を持ち、愛機である高機動型ザクIIは、彼のパーソナルカラーである白色にカラーリングされ、“白い狼”のマークが施されている。また近接戦闘を得意とし、専用の大型ヒート・ホークを好んで使用していた。
マツナガとその白いザクIIは、ソロモン防衛の要として活躍していたが、マツナガがソロモンを離れていたタイミングで連邦軍の総攻撃が始まり、ソロモンは陥落し上官であるドズルも戦死する。そして、彼の白いザクIIも最後は活躍がないまま格納庫内で焼かれてしまった。
ちなみに、彼がソロモンを離れた理由は、新型のMS-14JGゲルググJの受領のためだったともされている。一年戦争後、シン・マツナガは消息不明となっているが、アクシズ付近で白いゲルググJが目撃されたとも……。
シン・マツナガと専用ザクIIは、プラモデル企画『モビルスーツバリエーション』で誕生し、漫画やゲームなどでの活躍はあるものの、映像作品での活躍はまだないのは残念だ。仮にシン・マツナガが乗る白いザクII、もしくは白いゲルググJがソロモン防衛に参戦していれば結果はどうなっていたのだろうか。さすがに大勢には影響なかったかもしれないが、ドズルは死ななかったかもしれない……?など、非常に想像が掻き立てられる面白い機体である。
■“ホワイトオーガー”の異名は伊達じゃない!エルマー・スネル専用ザクIIJ型
次は、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』に登場したエルマー・スネルのザクIIJ型を紹介する。
2008年に発売された本作は、一年戦争を舞台に地球連邦軍の視点から地上戦が描かれたフル3DCGアニメだ。搭乗者であるエルマー・スネルは、ジオン軍のエースパイロットで、階級は大尉。連邦軍視点の作品ということもあるのだろう、劇中確認できるのはモビルスーツごしから聞こえる大塚明夫さんが演じるエルマーの渋い声ぐらいで、容姿はほとんど分からない。
彼が乗る型番MS-06J ザクIIJ型は、エルマーのパーソナルカラーである白色にカラーリングされ、頭部とシールドにトカゲのマークが施されている。戦場で暴れ回るその姿から“白き鬼(ホワイトオーガー)”の異名で呼ばれ、敵味方から恐れられていた。
作中でエルマーの白いザクIIJ型は、主人公の一人であるハーマン・ヤンデル率いる61式2個小隊と戦闘を繰り広げる。エルマーは敵隊の8輌すべてを撃破し勝利を確信したのだが、この日臨時で編成に加わっていた9輌目ヤンデル車に背後を取られ、白いザクIIJ型はコクピットを撃ち抜かれてエルマーも戦死している。
61式戦車との砂ぼこりを舞い上がらせながらの地上戦は、3DCGアニメーションでありながら無骨で生々しく、非常に緊張感がある戦闘シーンだった。その中でもエルマーの白いザクIIJ型の存在感は際立っていた。