『ぽっかぽか』に『天までとどけ』も! 涙なくしては見られない…子どもと一緒に楽しめた懐かしの“ハートフルな昼ドラ”の画像
『ぽっかぽか』DVD(C)TBS

 昭和から平成にかけてお昼の時間帯に放送されていたドラマ、通称“昼ドラ”といえば、男女の愛憎劇が渦巻くドロドロとした内容をイメージする人は多いのではないだろうか。

 しかし昼ドラはこうしたドロドロばかりではない。愛憎渦巻く内容の昼ドラは子どもと一緒に見るのはちょっとはばかられたが、なかには親子でも安心して視聴でき、つい感涙してしまうようなものもあった。ここではそんなハートフルな昼ドラを3本紹介したい。

■家族の存在や日常生活の幸せを描いたドラマ『ぽっかぽか』

『ぽっかぽか』は1994年からTBS系列の「花王 愛の劇場」枠で放送された。深見じゅんさんの少女漫画を原作にしたドラマであり、全3シリーズまで放送されるなど昼ドラの中でも人気を博した。

『ぽっかぽか』は郊外に暮らす夫婦と娘の3人家族が織りなす、日常生活で巻き起こるドタバタをユーモアに描いた作品だ。ドラマでは夫役の田所慶彦を羽場裕一さん、妻の麻美役を七瀬なつみさん、4歳の娘・あすか役を上脇結友さんが演じた。

 本作の主人公は、妻である麻美だ。元気で超マイペースな麻美は家族を愛する主婦であり、朝に弱い。しかしピンチに陥った人を見ると全力で助け、時に猪突猛進して周りを巻き込む展開も多かった。

 また『ぽっかぽか』の印象的な場面といえば、娘のあすかが父母のことを「ちち」と「はは」と呼ぶことだろう。現実的にはなかなか使わない名称だが、素直で素朴なあすかが「ちちー」と言ってお父さんに甘えるようなシーンは思わずほっこりさせられた。

 本作はハートフルな展開だけに終わらず、ときに子育てなどにおいて考えさせられるシーンも多い。少しのあいだ子どもを置いて外出し誘拐騒ぎになって後悔する母親、そして、仕事に没頭しすぎていた父親もこれまでの行動を反省するなど、今の時代も変わらない子育ての難しさを描いていたりもする。

『ぽっかぽか』では日常生活でリアルにありそうなトラブルのエピソードも登場しており、まるで自分のことのようだと感情移入し、ホロリとした視聴者もいただろう。今から30年前に制作されたドラマなのに、今見ても古臭さを感じさせない魅力あるドラマだ。

■大家族の絆や子どもたちの成長にグッとくる 『天までとどけ』

 1991年からTBS系列で放送された『天までとどけ』は、八男五女の合計13人もの子どもがいる大家族をテーマに描かれた、ユニークで心温まる物語だ。

 昼ドラとしては異例の視聴率を叩き出し、シリーズは全8シリーズにも及んだ。主人公の13人の子どもの母親である丸山定子を演じたのは岡江久美子さん、その夫の丸山雄平を演じたのは綿引勝彦さんである。

 本作は大家族をテーマにした作品というだけあって、彼らの日常生活の様子を見るだけでも楽しい。現在でも実在する大家族が登場するドキュメンタリーなどは人気だが、『天までとどけ』はドラマでありながら、子どもたちの兄弟喧嘩やヤンチャな姿、親が苦労しているシーンなどがリアルに描かれており、子育ての喜びや気苦労に没入できるのも醍醐味だったように思う。

 さらに本作は8年にもわたってシリーズ化されているため、出演する子どもたちが成長していく様子が分かるのも良かった。反抗期などを経て自立するシーンや、結婚するシーンなどは、本当のわが子のように感情移入して成長を喜び、涙してしまう。

 残念ながら主役の岡江久美子さんは新型コロナウイルスにより63歳という若さで、夫役の綿引勝彦さんも病気で75歳で亡くなっている。この訃報には多くの人が驚き悲しんだ。たくさんの思いは天までとどいただろうか。本作のオープニング曲であった「涙くんさよなら」を耳にすると、このドラマに思いを馳せてしまう。

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