■『中間管理録トネガワ』

 福本伸行氏による『カイジ』のスピンオフである原作:萩原天晴氏、作画:橋本智広氏、三好智樹氏による『中間管理録トネガワ』もかなり注目を集めている作品だ。利根川幸雄は本編では会長の右腕として活躍し、カイジたちを苦しめる悪役だ。そのため、憎らしい敵のひとりでしかない。

 それがスピンオフ作品になると、中間管理職としての気苦労が描かれているのだ。会長から無茶な命令をされたり、部下に嫌われないようにしたり、ライバルに嫉妬したりと、ごく普通の会社員と変わらない姿になっている。

 そのため、カイジたちには偉そうにしていたけれど実は大変な思いをしていたんだな、と同情すらしてしまう。何もしないで金だけを欲しがっている者たちにムカつくのも当然なのかもしれない……。

 この作品は「このマンガがすごい!2017」のオトコ編1位を受賞していて、アニメ化もされている。『カイジ』のスピンオフにはほかに『1日外出録ハンチョウ』や『上京生活録イチジョウ』もあるので、そちらも読んでみてはいかがだろうか。

■『闘将!!拉麺男』

 最後に紹介するのは、ゆでたまごによる『キン肉マン』のスピンオフとなる『闘将!!拉麺男』だ。これは、『キン肉マン』に登場する仲間の超人のひとり・ラーメンマンが主人公となった作品である。

 ラーメンマンが本作で活躍する姿がカッコいいと評判になり、人気投票で主人公のキン肉マンをしのぐ勢いとなったことでスピンオフが誕生した。作中ではラーメンマンの生い立ちや、他流派の拳法家との戦いで成長していく姿が描かれる。

 この作品の魅力は、本作では見せないラーメンマンの必殺技や強敵との戦いだ。ひとつの作品として見ごたえがあるので、スピンオフとは思えないほど……。

 本編でのラーメンマンは一度戦線離脱をするも、その後モンゴルマンとして登場して活躍している。そこからもラーメンマンというキャラがいかに愛されているのかがわかるだろう。

 

 スピンオフ作品は、主人公以外に魅力的なキャラがいるからこそ生まれるものである。本編をより楽しめる内容が盛り込まれていることも多いので、ぜひともあわせてチェックしてみてほしい。

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